熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

健康都市こうしをめざして ~次世代に引き継ぐことのできるまちづくり~

1.将来を見据えた市の基盤整備

今、世の中は先行き不透明な時代であり、健康志向が強くなってきております。このような時代に求められる健康関連産業や研究機関を誘致するにしても、まずは、原点である合併時の「まちづくりビジョン」を現実のものにしなければなりません。スマートインター建設をはじめとした、市のポテンシャルを高めるような各種事業の着手と早期完成に全力を挙げなければなりません。今の合志市は、政令都市を目指す熊本市のベッドタウンとして人口は増えていますが、近い将来必ず市の人口も減少してきます。それまでに次の手立てを準備しなければならないのです。


グローバルな経済社会の中で、将来の予測が大変難しい時代ですが、これから10年先、20年先を見据えた取り組みを今から進めていく必要があります。


2.現状認識と課題

一つの問題は、働く場の確保です。現在、市にとっては市税が財政上の大きな財源です。今までの働く世代「労働力人口」の減少に対応し、高齢者の働く場所、生きがいを持ち日々を暮らす社会環境をいかに作っていくかが課題であると思います。


また、雇用の問題として、多くの人々の働く場所が合志市の外であることが危惧されます。また、買い物をする場所が少ないので多くの市民は市外で買い物をされており、地域経済を活性化させ、地域の振興を図る経済環境であるとは言いがたい状況です。住みやすさには多くの人々が満足感を抱いていますが、このような現状を変えるためにも雇用の場を確保するための施策が急務であると考えます。


一方、市の基幹産業である、農業の将来も決して明るいものではありません。商業も厳しい現状が続いております。企業誘致も思うように進まない状況の中で、今こそ「農、商、工」連携、すなわち合併時に計画されたバイオ産業などの新たな産業の創出、発展に本腰を入れなければならない時期だと考えています。


3.「健康都市こうし」を目指す~「健康ファクトリー構想」の実現~

合志市は、日々生活するための生活環境が整い、自然にも恵まれ、農産物も素晴らしいところですが、他の地域との差や優位性をアピールするほどの特徴は持ち合わせていません。


そのために、すべての政策に「健康」というキーワードを付け加え、健やかに育つ子どもたち、働く意欲を持ち社会に貢献する大人たち、穏やかに暮らし地域に貢献するお年寄り、全ての世代が心身ともに、いきいきと暮らすことのできる「健康都市こうし」を目指し、この実現に向け今後事業展開を図っていくところです。


「健康都市こうし」を創るために、市の重要政策として「健康ファクトリー」構想の実現に取り組みます。


この構想は、まず国・県の研究機関と、その施設が立地しています国有地、県有地などの行政財産を含めた合志市の将来の土地利用の有り方について、広く議論のできる協議会を設置します。


また、その土地を含めた周辺の大規模な土地利用も検討していき、さらに、農産品の加工技術や保存技術の向上のため、企業の誘致や大手資本との協力体制に力を入れます。


そして、産学官連携を主軸とした、新しい安定した農業施策の展開を目指し、農業経営の安定化と雇用の確保に努めたいと考えています。


4.中小企業振興基本条例の制定に向けて

そのような取組みを実現していこうとする中で、平成22年9月議会に「合志市中小企業等振興基本条例」の制定をお願いする予定であります。地域の自然、歴史、伝統文化等との調和を図り、地域に根付いた経済活動を営まれている市内の中小企業の皆さんの発展こそが、活力ある地域社会実現の基盤であると考えております。条例制定後には、熊本県中小企業家同友会の皆様にもご協力いただき、実のある中小企業の振興を図っていきたいと考えております。


5.終わりに

以上のことを基本に、できることからスピード感を持って取り組んでいき、その状況については、市民の皆様方、議会の皆様方に、丁寧にわかりやすく情報公開を行い、市民一丸となって、次世代に引き継ぐことの出来るまちづくり、すなわち、全ての世代が心身ともに、いきいきと暮らすことのできる「健康都市こうし」を目指していきます。


2010年9月号掲載

合志市 市長
荒木 義行

昭和33年7月22日生まれ、熊本県立菊池高等学校卒業
昭和52年10月22日警視庁警察官、昭和61年7月国会議員秘書、平成7年4月から19年7月まで熊本県議会議員4期、22年4月2日から合志市長就任

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