熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

「県の環境生活分野の取組み」

今回は貴重な寄稿の機会をいただきました。担当しております環境分野、生活分野で皆様に関連すると思われます事柄をいくつか紹介したいと思います。

政府の経済政策としてアベノミクスが進められていますが、昨年「まち・ひと・しごと創生法」が制定されました。今年6月には、その基本方針が閣議決定されて、「ローカル・アベノミクス」として「地方創生の深化」が政策目標となっています。人口減少・超高齢化の中で、地方では、毎年10万人の若者が進学や就職のために東京圏に流出し続けており、政策として、①地方にしごとを作り、安心して働けるようにする、②地方への新しいひとの流れをつくる、③若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、④時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する、が掲げられています。県としての総合戦略は10月末に策定予定です。

当環境生活部においても、定住化の促進や家族・地域の絆の再生、観光等の面での交流人口拡大等につながり、また、下支えとなるような様々な取組みを進めています。



まず、「男女共同参画社会の実現」の取組みです。昨年度、女性の社会参画加速化会議を設け、全国に先駆けて戦略を策定し、女性の労働力率を全国15位から5位に浮上させるなどの目標を掲げ、企業の取組事例集の作成や、ダイバーシティ(多様性)経営に係るセミナー開催などを行っています。

そうした中で、8月28日には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が成立しました。日本では、女性の年齢階級別労働力率グラフは30歳代がへこむM字カーブを描きますが、働きたいと希望しながら働いていない女性は303万人もおられます。夫の家事・育児時間が長いほど、妻の継続就業割合が高く、第2子以降の出生割合も高い傾向にあります。この法律では、行政や民間事業主に、自社の状況を分析し、数値目標や取組内容を盛り込んだ行動計画の策定を求めています。労働者300人以下の事業所は努力義務となっていますが、皆様の事業所におかれましても、できるだけ積極的な対応をお願いします。

また、電話やインターネットを使った消費者被害が多発しており、この防止・被害対策とともに、青少年の健全育成や犯罪被害防止、交通安全等も含め、「安心」の取組みを進めています。


環境分野については、「環境と経済と社会の好循環」がテーマと考えています。リサイクル製品認証制度の検討や、廃棄物や竹材等のバイオマスを循環資源として活用するなど環境技術開発や産業化の促進に取り組みます。また、「蛇口をあければミネラルウォーター」という、熊本地域をはじめとした地下水を次世代につなぐ取組みや「水の国くまもと」の発信などとともに、森、里、川、海のつながりを意識した自然環境の保全や有明海・八代海の再生問題、生物多様性の確保に取り組んでいます。本年度からは、外国人観光客対応も踏まえ、阿蘇や天草など国立公園等にあるトイレの洋式化や案内板の更なる多言語表記、手すり・歩道等の改修を集中的に進めています。


同友会の皆様は、政策委員会をはじめ、地球環境委員会や女性経営者部会の活動など、当環境生活部と関係する取組みを盛んにされています。同友の森づくりもそうです。この寄稿をきっかけに、一層連携していただければ幸いです。

2015年10月号掲載

熊本県環境生活部長 田代 裕信

熊本県環境生活部長
田代 裕信

昭 和31年10月21日生まれ、宇土市出身。九州大学法学部卒業。昭和54年4月熊本県庁入庁、平成19年総務部付(熊本市企画財政局総括審議員)、21年地域振興部交通対策総室副総室長、環境生活部水環境課長、環境立県推進課長、県立大学事務局次長、環境生活部政策審議監、27年4月環境生活部長

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