熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

民間行政一丸となって創造的復興を!

この4月より、熊本県商工観光労働部長を拝命しました。これまで、広報や観光物産振興、県内企業の海外展開支援、くまモン、企業誘致、地域づくりなど、国内外への本県のPRや経済振興の仕事を多く担当してまいりました。この経験を生かしながら、また、急速に変化する時代の行く先をしっかり見据えながら、スピード感を持って本県の創造的復興の推進に全力を挙げてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

さて、未曽有の被害をもたらした平成28年4月の熊本地震の発生から2年が経過し、交通インフラをはじめ復旧復興への歩みは順調に進んでまいりました。しかしながら、今もなお、3万8千人を超える方々が仮の住まいで生活されています。恒久的な住まいと安心して働き続けられる仕事は、生活の基礎としてどちらも欠かせないものです。熊本県では、熊本地震からの復興に向けて、県民一人ひとりの「心の復興」を進めるために、「すまいの再建」と「しごとの再建」を重要課題と捉えており、商工観光労働部では、熊本経済の復興を担う企業の支援を進めております。

被災した中小企業の復旧費用の4分の3を国・県が補助する「グループ補助金」については、昨年度末までに、4,702件(1,305億円)の交付決定を行い、本県経済の回復を大きく下支えしています。インフラ復旧の遅れや工事業者不足等の理由でこれからグループ補助金を申請される方々についても引き続き支援して参ります。また、中小企業向け融資制度については、震災直後から大きな資金需要に応えるために十分な規模の予算額を確保し、被災企業向けに信用保証料を全額補助するなど積極的な支援を行い、熊本地震発災後2年間で約1,290億円の融資を行っております。本年度も約470億円の新規融資枠を確保して円滑な資金繰りを支援して参りますので、どうぞご活用ください。

一方で、熊本地震後の復興需要や昨今の景気回復により、業種によっては深刻な人材不足となっており、人材の確保は喫緊の課題となっています。また、ワーク・ライフ・バランスの推進や働き方の見直しも求められています。必要な人材を確保し、従業員や求職者にとって働きやすい魅力ある職場、生産性や業績が向上する企業が増えるように、県では、新卒者の県内就職の促進、UIJターンの支援、女性・高齢者・外国人の雇用促進を進め、ブライト企業(働く人がいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業)の募集とPRも行って参ります。

熊本地震により激減していた観光客数は、運休していた国際線3路線(台湾、韓国、香港)も再開し、道路や鉄道の早期の復旧が待たれる阿蘇を除いては、ほぼ例年の水準に回復してきました。アジア各国でも人気が高い「くまモン」を活用した本県PRや八代港の国際的なクルーズ拠点化に向けた取組みも進めており、交流人口の更なる拡大が期待されます。来年には、1月からNHK大河ドラマで熊本県出身のオリンピック選手、金栗四三を主人公とした「いだてん」が放映され、ラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権も開催されるため、熊本の注目度も一層高まります。これらのビックチャンスを活かし、ビジネスの拡大に積極的に取り組んでいただければ幸いです。

今年度は本県の創造的復興に弾みをつける重要な年と位置付けています。なかでも熊本の経済の復興を成し遂げるためには、中小企業の皆様の業績向上が必要不可欠です。蒲島知事の「皿を割ることを恐れるな(失敗を恐れず挑戦しよう)」との言葉通り、私どもも積極的に新たな挑戦をしていきたいと思います。民間行政一丸となって、熊本経済の力強い復興、発展に取り組んでまいりましょう。


2018年6月号掲載

熊本県商工観光労働部長 磯田 淳

熊本県商工観光労働部長
磯田 淳

昭和35年1月生まれ。昭和58年熊本大学法文学部卒業。民間企業勤務を経て昭和62年4月熊本県庁入庁。平成22年 大阪事務所次長、平成25年 国際課長、平成28年 政策審議監兼商工政策課長、平成29年 政策審議監兼知事公室くまモングループ課長、平成30年4月より商工観光労働部長。

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