熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

ITがビジネスそのものを創出する

この夏のサンフランシスコでは、友人の車で送迎をしていただくのが基本であったが、ゴールデンゲート公園の中のAcademy of Scienceと美術館に送ってもらって、見学後、帰りは自力であった。タクシーを探そうとしたが見当たらない状況の中で、息子がスマホをいじり始め、しばらくすると、普通の乗用車が目の前に停まるではないか。それに乗り込むと、特に会話もせずに、世話になっている友人の家まで、送り届けてくれた。これが、Uberというシステム(米国ウーバーテクノロジー社による一般ドライバーによる配車・輸送サービス)である。息子が、アメリカの友人に方法を教えてもらったそうである。自分ではやっていないのであるが、スマホにアプリをダウンロードして、氏名、電話番号、メールアドレス、パスワード、料金を引き落すクレディットカード番号などを入力してメンバーとして登録する。配車が必要になれば、乗車場所と希望時刻、目的地の住所などを入力して配車をリクエストすると到着予定時刻、ドライバー名、顔写真、車両タイプなどが回答される。後は、乗るだけで、支払いは自動であるし、言葉もほとんどいらない。評価システムもあるので、トラブルも解消できるとのこと。サンフランシスコをはじめとして、世界の数百の都市で運用されているとのことである。種々、問題もあるようであるが、言葉の通じない見知らぬ土地ではすごく便利で、まさにICTそのもののもたらす利便である。東京でも、2014年頃からタクシー会社との連携で行われているそうであるが、一般ドライバーによるものは許可されていないとのこと。海外から東京オリンピックに訪れる日本語を話せない人々には、かなり利用価値があるのではないかと思う。帰国して、Uber社のことを調べてみると、そのコンセプトは「テクノロジーの応用により世界中の人々の移動を様々な形で支え、無数のつながりを生み出す」とし、タグラインは「世界を変えていく機会の創出」としている。このコンセプトとタグラインの下、レストランからの料理の配達をするUberEATS、貨物輸送業者と荷送人をつなぐ無料アプリUber Freight, 従業員の出張から顧客の送迎までビジネスに必要な移動手段の手配を簡単に行うビジネス用Uber、病院、リハビリセンター、高齢者介護施設などの医療福祉機関と患者・利用者の間をつなぐ配車サービスUberhealth などにビジネスを広げている。9年前の2009年に起業したこの会社の売上が1兆円超で、純利益6000億円超(利益率60%程度)というすごいベンチャー企業である。そして、この勢いに乗ってか、今後、電動垂直離着陸機(eVTOL)を開発し、エアタクシーとして使おうというのである。最近、Uber社が“空飛ぶタクシー”の試験飛行実施候補地の一つに日本を選んだとのニュースを見て、ハードも手がける大会社であると改めて認識した。

ITが使われ始めた頃は、「ITはコスト削減や生産性向上の道具」と考えられていたが、その後、「ITをうまく使えばビジネスそのものを変えられる」との認識に変わり、そして今や、このUber Technology社のごとく、「ITをうまく使えば、ビジネスそのものを創れる」という時代になったことを実感している。Uber社のような考え方を、様々な職種に適用すれば、いろいろな起業が可能なのではないかと夢見ている。言うは易し・・・ではあるが・・・。


2018年12月号掲載

銀杏学園理事長、熊本保健科学大学学長、﨑元 達郎

銀杏学園理事長
熊本保健科学大学学長
﨑元 達郎

鹿児島県出水市生まれ、昭和47年大阪大学大学院博士課程単位取得退学、47年同大助手、48年熊本大学工学部講師、54年米国オハイオ州立大学客員助教授、59年熊本大学工学部教授、平成14年同工学部長、同第11代学長、平成16年国立大学法人熊本大学初代学長、21年熊本大学名誉教授、顧問、22年放送大学熊本学習センター所長、27年熊本保健科学大学学長、専門は土木構造・橋梁工学

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