一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

スポーツ マネジメント会社の経営

私は2023年4月より、アスリートクラブ熊本の社長に就任しました。このアスリートクラブ熊本は、「県民に元気を」「子ども達に夢を」「熊本に活力を」というクラブ理念のもとにサッカーJ2リーグのロアッソ熊本の運営をおこなっています。

サッカーの興行が生業となり、若干、一般企業とは異なる活動に映るかもしれませんが、基本的には営利を目的とした事業会社であるという点では、何等皆様の会社との違いはありません。昨年で設立から20年がたっております。設立から4年後にJリーグに参入し、そこからプロチームとしての活動になります。その頃の売上は現在の半分以下であり、利益については、ほぼゼロに近い状態で、何かあると大きな赤字を計上して、何度も債務超過の危機に直面し、都度、増資等でつないできたというのが実態です。その後、2018年にゼネラルマネージャーとして織田が就任し、そこからチームを育成型に変える事で、それまでとコスト構造が変わり業績が向上していきます。コロナ禍で再度経営状況が悪化しますが、私が社長に就任してからは、本年度も含めて3期連続の黒字化となり、繰越利益剰余金のマイナスもあと2 ~ 3年程度で解消できるのではないかという所まで回復してきました。

アスリートクラブ熊本の生い立ちとしては、熊本の経済が低迷していた時期に、地域活性化の為にも、Jリーグのプロサッカーチームを作ろうという熱い気持ちで、県民運動の中から生まれたチーム・会社であり、クラブ理念にもその想いが込められています。また、どのJクラブの会社も同様だと思いますが、そこに集う社員達はサッカーチームのマネージメントがやりたいという、志をもって入社してきますので、「やりがい」や「使命感」が一番であり、自己犠牲は当たり前で、待遇等は二の次だったようです。その為か、私が就任した当時でも、20名程いる社員に、利益に対する執着心はさほど感じられませんでした。私の前職は平田機工ですが、私の育った環境とは大きく違っていた事は驚きでした。しかしながら、ロアッソ熊本を応援して頂く全ての人達に、夢や希望をもってもらう為には、社員一人一人に、元気で幸せな生活がなければ、クラブ理念の実現は到底できないのではないかと、社員達と話をし、幸せな生活の実現のためにも、会社が確実な利益を出し、夢や希望、誇りを持てる会社に成長させる必要があると言い続けています。その為にも、徹底したコスト管理と、利益追求をおこない、ビジネスチャンスを見逃さない視野の広さを要求しています。チームについては、GMの織田がしっかりとコントロールしてくれていますので、私は企業経営に注力できますので、二人での分業体制がうまくできていると思っています。そうはいいながらも、経営規模はJ2でも下位の方であり、いかにしてこの規模をJ2上位にあげて、ロアッソ熊本に関わる全ての人を豊にしていくことが、経営の最大の課題と捉えて日々奮闘しています。

2025年6月号掲載

株式会社アスリートクラブ熊本 代表取締役社長 藤本 靖博

株式会社アスリートクラブ熊本
代表取締役社長藤本 靖博

1958年6月生 66歳 山都町出身
1986年2月 平田機工入社。
2015年4月 同社執行役員就任
2019年4月 同社常務執行役員就任
2021年4月 アスリートクラブ熊本取締役就任(非常勤)
2021年6月 平田機工取締役常務執行役員就任
2023年4月 アスリートクラブ熊本代表取締役社長就任
2023年6月 平田機工取締役退任

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はじめに 熊本県中小企業家同友会会員の皆様におかれましては益々ご繁栄のこととお慶び申し上げます。また、企業の発展を通じて...