各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
もはや“万が一“ではない
事態に備えて
私は去年7月に熊本放送局に着任しました。熊本局長を拝命した時、最初に思ったのは、「熊本地震や令和2年の豪雨災害から復興する熊本の姿をきちんと取材し、全国に伝えるのが私の仕事だな」ということでした。それから、まもなく1年。いま、目の前にあるのは、災害やコロナ禍といった困難を乗り越え、大きく飛躍しようとする熊本の姿です。それも世界的大手半導体メーカーの県内進出を追い風として、想定以上のスピード、かつ何倍ものスケールで力強く進んでいるように思います。
ただ、その一方で、これまで幾度も地域発展の妨げとなってきた、『自然災害』の方も、残念ながら我々の想定を超える規模と頻度で発生しているように感じます。今年1月の能登半島地震、さらに4月にも熊本と縁が深まった台湾、そして、お隣の大分県でも大きな地震が発生し、震災が決して『過去のモノ』でも『遠くの話』でもないことを知らしめました。大雨や猛暑といった気象災害も各地で相次ぎ、「何十年に一度あるかどうかの災害が…」というニュースを毎月の様に耳にします。“防災・減災”の取り組みは、もはや“万が一”への備えではなく、“いつか必ず直面するリスク”への対応、と言わざるを得ません。
NHK熊本放送局は、今年度、「もっとくわしく、もっと近くに」をキャッチフレーズに、「より深い防災・減災情報を提供し、県民の命と暮らしを守る」ことを目標に掲げました。災害時の緊急報道はもちろんですが、日常生活の中から防災・減災につながるような取り組みや、企業BCPに必要な備えを紹介するなど、様々なコンテンツを発信していきます。さらに、急増する外国人なども念頭に、例えば、『やさしい日本語』での防災コンテンツなど、全ての人に災害情報がきちんと届くような取り組みも始めます。また、組織のマネジメントを担う者として、被災時にも放送を継続できる体制を維持するのが私の役目です。仮に、建物が倒壊し局舎が使えなくなっても、隣県の放送局を経由して熊本の皆さんにNHKの情報がきちんと届くようにするなど、様々な事態を想定した訓練を着実に行っていきます。
今年の10月には、『ぼうさいこくたい2024』が熊本市で開かれます。国が主催する国内最大級の防災イベントで、九州では初めての開催です。NHK熊本放送局も、これまで積み重ねた知見などを生かしながら、防災対策に取り組む地域の一員として参加すべく準備を進めています。過去の経験があるからこそ、『次に、いつ災害が起きても、被害を最小限化し、力強く前進していく』。そんな熊本の姿を皆さんと共に考え、築いていくことが、これからのNHK熊本放送局、そして、私の仕事です。
2024年6月号掲載
NHK熊本放送局 局長太田 真嗣
昭和43年7月6日生
平成3年3月 立教大学法学部卒業
4月 日本放送協会入局
4月 盛岡放送局・放送部(記者)
平成8年7月 報道局・政治部(記者)
17年7月 仙台放送局・放送部(ニュースデスク)
19年6月 報道局・政治部(ニュースデスク)
23年6月 解説委員室・解説委員(政治担当)
令和元年6月 解説委員室・解説主幹
2年7月 報道局・おはよう日本部(編集責任者)
3年7月 報道局・ニュースウオッチ9(編集責任者)
4年7月 報道局・おはよう日本部(編集長)
5年7月 熊本放送局長(現職)
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