経営課題への解決の糸口が、ここにある!
デザイナーが社長宣言!同友会が支えになった。
(株)トライ 代表取締役社長
小坂 貴和子 (熊本同友会理事・女性経営者部会長)
女性経営者部会(くまもとソレイユ)第3代部会長であり今年6月大阪で行われる第16回女性経営者全国交流会(略称:女全交)の第3分科会で報告者として登壇する小坂社長に、同友会入会の経緯から来年熊本で開催する女全交への意気込みを伺った。
-2004年7月に入会
当時副代表理事だった夫である小坂隆治現(株)トライ会長の紹介(命令)で仕方なく入会しました(笑)。ただ以前から興味のある講演などがある時には一緒に参加していたので同友会のことは随分真面目な会だな、という印象を持っていました。例会に参加するうちに当時代表理事だった米村浩幸社長(故人)に誘われて、2007年に山口県で行われた青年経営者全国交流会に参加しました。
-青全交に参加して
交流会終了後、米村浩幸代表理事、津川康博代表理事、上田裕子経営指針委員長(役職は当時)など数名で食事に出かけた時「熊本にも女性部会があったらいいね」と言われ、2年後津川社長の肝入りで女性経営者部会「くまもとソレイユ」が発足しました。
-社長宣言
自社では、それまで右肩上がりだった業績が2007年頃から停滞し始めました。当時社長だった夫が「俺の器ではここまで、百姓がしたい」と言い出し社長を退き会長へ。夫の悩みを気に掛けていた私は、社員の前で「わたしが社長になる」と宣言してしまいました。それまでは、デザイン一筋で自分のやりたい事だけをやって生きてきたので、経営が分かりません。気づいてみると、多くの社員がおり、危機感に襲われました。
-同友会で経営の勉強
「経営者としての学びをしっかりやらないと、社員たちが路頭に迷う」と同友会に参加して必死に勉強しました。その学びの中で経営者としての知識のなさを思い知らされました。決算書を見ることができない。業界の事も印刷機の事も知らない。色んな分野へのアンテナを張っていない。それに気付き、同友会の皆さんから聞いたやり方を真似させていただいています。例会などに参加すれば、自分の悪い所が目に付きます。自分の思い通りに動かない社員にイライラもしました。しかし逆に自分が経営者として何もしていないことに気づかされました。
-社長秘書
業界の勉強、団体の会合へ参加しなければならず、そのための時間を作る必要があります。会長が心配して「経営者は自分の時間が必要。ボーっとした時間も必要」と最初の1年間秘書を付けてくれました。秘書には同友会の例会にも参加してもらい、共に学びました。
-子育ての経験が経営に生きる
人は変えられませんが、自分は変えられます。自分が変わった所を見せると、子どもの態度が変わります。受け入れて伸びる。社員教育=子育てです。
-同友会の生かし方例(大阪の女全交で発表)
毎月一回「目標進捗状況報告書」の提出と「社長と語る会」を実行しています。マネージャーを通して社員一人ひとりの報告を必ず行うので社員の取り組みがよく分かるようになりました。これも同友会での学び。営業・管理・制作・工場の4つの部門があり、部門内コミュニケーションは取れていますが、部門間はそうはなっていませんでした。そこで部門を越えたミーティングの場を設けました。同友会の報告もします。社員の想いを理解できます。
-カリスマ社長(現会長)反面教師
会長が社長だった頃は、社長の号令ひとつですべてが動いていました。自分の想いを長時間に亘って語っていましたが、私はそれをやめ、レジメを作って会議を始めました。何のために会議をするのかを前もって決め、考える期間を与えます。
-同友会は漢方薬
何か感動的な例会がきっかけとかはありませんが、同友会はジワジワと効いてくる漢方薬みたいなもの。“回数を重ねるごとに沈殿物が増えた”みたいな感じがします。動員ばかり言われて嫌になったこともありましたが、その頃は同友会の理念が理解できなかったからだと思います。理解していくと仲間を増やす必要性を感じるようになりました。
-天草支部結成にちなんで
天草支部の設立に向けてゲストの方々と話をした際、「布井さんの付き合いで来ただけ」とか松尾代表理事や吉田副代表理事の話を聞いても「他人事」と言われた方がおられて残念に思いましたが、入会当時の自分を見る思いでした。あらためて日頃例会に参加している皆さん方の意識の高さを感じ、これを広めることは地域のためになると感じました。
-会社の業績について
自社の業績は、まだまだ十分ではありません。色んな取り組みを行っています。ホームページや情報誌以外にも、例えば選挙となれば、これまではポスターを作るぐらいでしたが、現在はうぐいす嬢や選挙カーなどトータルに提案しています。ウェブ事業部など部門的には急激に伸びています。勉強会も積極的に行っています。通販サイトも運営しています。
-これからにワクワク
今期は黒字が出せそうです。現在来期の経営方針を立てています。クラウドマネージメント協会(1県1社)にも参加しています。最近は会長も経営に参画してくれるようになりました。営業部門が弱いので、その部分を見てもらい、良くなっています。
-ソレイユの部会長
ソレイユの立ち上げの際、夫である会長から「役は受けると大変だよ」と言われ、女性経営者部会長をお断りしたら幹事長に任命されました。早咲京子副代表理事が熊本同友会の女性経営者部会の初代部会長、東支部の四方美由紀社長が2代目、私は3代目。感性派だから部会長向きではないんです。そこでさばける人に幹事長をお願いしました。部会長になって2年目です。
-第17回女性経営者全国交流会in熊本の成功に向けて
2014年6月に開催される第17回女性経営者全国交流会の設営を生まれてまだ5才のくまもとソレイユが担当することになりました。
これをきっかけにソレイユの結束力を高め、大きなステップアップの礎にしたいと思っています。
-ソレイユで共に学ぼう
同友会やソレイユでの学びを実践し、社内では、社員が意見を発信するようになりました。以前は言ってもムダみたいな風潮もありましたが、現在はトップダウンではなくてボトムアップ型に。社員が動きやすい状況をつくるのが経営者の役割とすれば、先天的に女性は環境に適応しやすく目配り気配りができる女性経営者の時代だと思います。2030年までに女性経営者を30%にしようという2030運動がありますが、ソレイユも2020年までには30%にして共に学ぶ仲間を増やす計画です。熊本同友会はソレイユをバックアップしてくれる環境が整っています。
-これからのトライ
60歳になったら社長は辞めます。それまでに長男に事業を承継します。社長を退任したらデザインに専念したいですね。グラフィックだけでなく、クラフトや手芸もやってみたい。血液センターの「くびる」を制作していますが、表紙の粘土細工を作っています。手作りが大好き人間です。熊本羅針「小坂の無礼講」のイラストも描いています。
2013年6月号掲載
【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)
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