経営課題への解決の糸口が、ここにある!
天は自ら助くる者を助く~本気で努力する者を同友会は見捨てない~
(株)熊本菓房 代表取締役
布井 吉治 (熊本同友会副代表理事)
-入会のきっかけ
紹介者は(株)アドルームの冨永寿彦会長です。動機は極めて不純です。2003年に突然社長になり、経営の勉強をしなければと思っていた矢先に、飲み屋街でばったり冨永さんに会ったのです。その時冨永さんはだれかと電話中で、電話しながら「同友会」勧誘を受けました。不純でしょう。「考えておきます」と答えて別れた後に行った店で、またばったり会ったのです。ご縁を感じて、誘われるまま、2004年7月に行われた全体例会にゲストで参加しました。滋賀同友会代表理事で本間工業(株)本間義典氏の「自主・自立的な社員はどうすれば育つのか?」というテーマの講演でした。その翌日に入会しました。
入会して4ヵ月後に行われた第10回経営研究集会では、平田機工(株)の平田耕也社長(当時)の講演がありました。例会途中で参加して、いきなりグループ討論に入って衝撃を受けました。若いメンバーの方が結構色んな意見を言われているのです。気おくれさえ感じました。他にも支部関連の行事に参加し、自分にないものがこの会にはあるなと、勉強になりそうだと思いました。
-社長の生き様を学べるのも同友会の魅力
入会後さっそく第3期社員共育大学へ社員と一緒に参加。新鮮でした。そこで(有)熊本装新の萩原一郎社長の講義を聞き、一回も赤字を出された事がないと言われ、驚きました。さらに同友会の学びによって独裁的だった経営から社員を大切にする経営に変わった点にも感銘を受けました。(株)モリシマの守島茂社長の経営体験報告も素晴らしかった。このお二人の話から、同友会は社長の本音や生き様がストレートに出る会だな〜と驚きました。こんな会は他にはない、勉強になる会だと衝撃を受けました。
-同友会は駆け込み寺
冨永さんらが熊本同友会の会風を作られたと思います。同友会は本音をさらけ出し合える所に一番の魅力がある。特にグループ討論は、会社に持ち帰って同じことを実践できます。うちの場合、定着までは達していませんが、かなり改善はしています。
グループ討論を社内で行うことで、社員の意外な一面が垣間見えます。普段あまりものを言わない人も意見を出してくる。社内で実践してみて上手くいかないときは同友会に戻して、皆さんの意見を聞いて、改善したものをまた会社に戻す。そんなやり方で経営を進めています。
同友会では本音を出し合える仲間をどれだけ持つかではないでしょうか。同友会は駆け込み寺ですよ。例会に参加すれば、自分の悩んでいる課題への答えが一つ二つは必ずある。やるぞ!と思って持ち帰るが、やれないで終わることもある。だからまた行きたくなるんです。
-東支部の副支部長に抜擢
2005年度の東支部長は、(株)アクアテックの内野靜子社長でした。翌年の2006年度の副支部長を、「乾杯するだけでいいから」と言われて受け、1年後には支部長になっていました。役を受けた事で自分が変わったと思います。一期2年間受け持ち、その後2009年度副代表理事になり、仲間づくり(1000)名推進本部長という担当を任されました。前年度まで仲間づくり委員長を務められていた(株)ソニックコンサルティングの森川俊秀社長が偉業(2年連続100名以上の純増)を成し遂げた後を継いだので、プレッシャーは大きかったですが、皆さんのお陰で微増ではありますが、8年連続増加を達成しました。
会員数で言えば香川同友会はすごいです。香川県の企業数は熊本の半分位ですが、会員数は1000名を超えています。だから熊本も1000名会勢というのは不可能な数字ではないのです。
仲間づくり(1000名)推進本部長になり、熊本同友会の各組織のさまざまな会合に参加しています。自分ひとりが頑張ってもたいしたことはできません。皆さんの力が集まって達成できます。たとえば冨永さんは、声を掛ける相手がいなくなると、宴会で会った隣の人に声を掛けて、入会に結びついた経験もあるそうです。今は世代交代の時期ですから、声を掛ける相手は多いはずです。同友会は絆や連帯意識も強く、どこの県へ行ってもオープン、歓迎されます。基本は同志という考え方です。全国大会へ参加したお陰で学びを得る人が多いですが、その為には役を受けた方がいいと思います。受けたほうが全国大会に参加するきっかけも増えます。
-中同協での「学び」
同友会は経営者の経営体験(実践)報告を聞くのが一番です。最近も沖縄で開催された中同協の第15回女性経営者全国交流会で聞いた体験談をさっそく経営に生かしています。その体験談を基に5 ヵ年計画を立てました。ちょうど5 ヵ年計画を立てようと考えていた矢先でした。自分で計画書を作るのは苦手な方ですし、作ったにしても立派な物は作れません。社員は驚きました。本当に社長が作ったのかと疑われもしましたが、自分の会社に当てはめました。また生き様や苦労話を聞くと上には上があるものだと学ばされます。
-困難を乗り越えた話を聞くのが一番!
わたしの場合、経営について本当に困った時は、同友会でご縁のあった方に直接会いに行き、具体的に話を伺います。自分なりのアレンジは必要ですが、そのほうが間違いない。同友会で結ばれた人のご縁で救われたことが多いです。その方の手法を真似ることで事業が発展しました。もちろんそのままを真似るのでは相手に失礼だから、できれば150%位の、相手より素晴らしい物に仕上げるのが礼儀だと思います。それだけは念頭に掲げています。短期間で成果を出すには効率化が大切ですから。
-60周年を迎えた頃
当社の60周年記念式典は、どん底の中で行いました。70周年は迎えられないかもしれない不安の中で、7 〜 8年間厳しい取引を続けていただいている業者の方々に、社長として感謝の思いを伝えたかったのです。ですから社長挨拶が1時間近くになりました。社業が厳しくなった原因は、店舗を増やし過ぎた事にありました。最大で24店舗。やがて不採算店が出ました。不採算店を閉めろとの銀行の指導により、社長に成り立ての頃で、言われるまま閉めたのです。とたんに金が回らなくなりました。閉めると売上は即0になるが支払いは2 ヵ月ぐらい続くからです。こんなことも分からなかったのです。そこで閉めるために、閉める店の売上を別市場で確保して、目途が付いてから閉める方法に変えました。そんな頃、ある経営者の方から、「いい時悪い時あると思うが、悪い時ほどあいさつ回りをしなさい」と言われました。決算書が良かろうが悪かろうが、仕入先に持って行って正確に報告する事が大事、隠したらダメ。アドバイスをいただきに行くのがコツ。事業の一寸先は分かりません。
-経営のどん底で1000名達成の本部長に!
「どんなに苦しくても、天は見捨てない」そう考える生き方をしています。そこは絶対に崩しません。同友会設立趣意書の一文でもある「天は自ら助くる者を助く」を信じています。その生き方の中で、「奇跡」をいただきました。自分さえ良ければという考えをすれば一時的にはいいかも知れませんが、長い目で見ると上手く行かない事が多いと思います。自分を犠牲にしてでも相手を思いやる生き方をしておけば、天は見捨てないと思うのです。それで見捨てられればそれまでです。
-奇跡をいただいた!
昨年11月に大口債権者から借金の免除を伝えられました。天を信じる生き方をしてきたから、与えられた奇跡だと思います。見えない力が働いたとしか考えられません。そこに至る過程は簡単ではありませんでした。しかし同友会で様々なご縁をいただいた。そのご縁が繋がって奇跡が起こったのです。生き方が理念となり、奇跡に繋がったと思っています。
-これからについて
どうにかこうにか困難を乗り越えましたので、息子に事業を承継する方向で考えています。またこれからは、ネット販売にも力を注ぎます。ネット販売は「地産他消」ですので、お金は熊本に返って来ます。地元の素材を使ったお菓子づくりにもこだわっています。地域に根差した国際企業を目指します。
2012年11月号掲載
【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)
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