一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

核心

経営課題への解決の糸口が、ここにある!

同友会の学びで商店街の復活を目指す!

(有)ヨシダ精工 代表取締役 吉田 周生(副代表理事)

(有)ヨシダ精工 代表取締役 吉田 周生(副代表理事)


■嫌々ながらの入会

2005年3月2日に入会しました。紹介者は、未来工業(株)熊本工場の菅原時男工場長です。当時私の会社は、未来工業の下請けでしたので、業務命令のような形での入会でした。ですから入会当初は、菅原さんの顔を潰さずに、いかに早く退会するかを考えていました(笑)。

菅原さんから2006年度の菊阿支部幹事長をしてほしいと言われ、渋々承諾しました。その頃代理で理事会に出席したことがあります。(株)アドルームの冨永寿彦さん(当時の熊本同友会代表理事)から、「同友会を斜めに見て、面白くなさそうだね」と苦言を呈されたことがありました。箸にも棒にもかからない会員だったと思います。


■グループ討論が同友会への見る目を変えた

1992年の7月、28歳で脱サラし、(有)ヨシダ精工をつくりましたが、当時は一人で3 ~ 4人分の仕事をこなしていて、他人を雇用するなど考えてもいませんでした。しかし同友会に入会し、一人でできることは小さい、チームで仕事をすることが面白くやり甲斐があることを学びました。チームで動くとなると理念がいる。理念の必要性に目覚めました。

また色々な経営者の方々とのグループ討論が、同友会への意識を少しずつ変えてくれました。そして同友会の理念が私の経営への意識も変えました。


■同友会が会社を救った

2007年、頼まれて障がい者の実習を受け入れました。熊本県立ひのくに高等支援学校で評議員をされていた(有)ウイントンブランドの米村浩幸さん(当時の熊本同友会代表理事)からの紹介でした。それがきっかけで、障がい者を雇用するようになりました。ひとりふたりと増え4名を雇用しました。

2006年の小泉内閣の進める構造改革によって民間法人でも就労継続支援A型事業所の開設が可能になったのを契機にA型事業所「プレジャーワーク」を設立しました。民間法人として、熊本県の第一号の設立でした。2009年のリーマンショックでは本体の売上が激減しましたが、プレジャーワークのお陰で、雇用を守ることができました。これも同友会に入会して、生き方が変わったお陰です。同友会に感謝しています。


■多くの仲間とのつながり

支部長の経験はありません。菊阿支部の幹事長を2年間務めたあと障がい者問題委員会(名称は当時、現在障がい者雇用支援委員会)の委員長を拝命し、3年後の2011年に副代表理事になりました。副代表理事になったことで、学びが深まったことは事実です。全国の大会にも30回以上参加しました。熊本県内から全国まで、人脈が広がりました。

またプレジャーワークをつくったお陰で、地域の役も担うようになりました。

8名でスタートしたプレジャーワークも、今日では26名です。障がい者の生活を安定させるためのグループホームも運営し、25名が入居しております。


■合志市須屋の商店街活性化計画

プレジャーワークのある合志市須屋は、私たちの子どもの頃は、活気のある商店街でした。親たちはここで買い物をしていたのです。それが今では面影もありません。プレジャーワークを開設した当初は、障がい者の働く施設として、近隣の方々の中には色眼鏡で見る方もいらっしゃいました。そこで社員共々清掃奉仕を始めました。それが功を奏したのか、少しずつ理解していただけるようになりました。

これから、かつての賑わいを復活させるべく商店街活性化計画に取り組んでいます。角のクリーニング屋さんがやめられるので、引き継いでクリーニング業も始めます。合わせてそこに、現在プレジャーワーク敷地内に店舗を構え、温浴施設やスーパーなどへも納品している団子屋“味彩屋はるちゃん”の2店舗目を出店します。またこの近辺はお年寄りの住まいが多く、クリーニングの配達も計画中です。うちは米も作っていますから、それも配達します。近隣のコンビニやわずかになった店舗など継ぐ人がいないという状況もあります。そこで人材育成にも力を入 れています。


からいもを使った美味しいだんごが好評の“味彩屋はるちゃん”



■第7回中小企業地球環境問題交流会での動員担当

10月に中小企業家同友会全国協議会主催の第7回中小企業地球環境問題交流会が熊本同友会の設営で開催されました。組織動員担当三役を引き受けましたが、当初は参加目標400名の達成など夢のまた夢と思っていました。不安でいっぱいでした。PR活動で九州じゅうを回りました。沖縄以外すべての県を回りました。大阪や東京でもPR活動をしました。皆さんのご協力のお陰で、参加者370名を超えほっとしました。私の所属している菊阿支部は176%の達成率でした。来年は第17回女性経営者全国交流会(略称:女全交)が開催されます。女全交でも同じ役を受けていますが、不安はありません。全国から沢山の方々が来られると想定しております。


■「周生」の名前に感謝

子どもの頃は周生という名前のせいで、いじめられていました。「吉田、修正せろ」と馬鹿にされるネタでした。ところが同友会に入会し、グループ討論で学びが深まるにつれ、周囲と共に生きる「周生」に代わっていました。今では「周生」は誇れる名前になりました。ついでに言いますと、子どもの頃はおとなしい地味なタイプのこどもでした(笑)。


プレジャーワーク(株)内
電気配線用器具組み立て、部品点検、袋詰めなどの作業中



■同友会とは

同友会は、謙虚に学ぶ姿勢を持った経営者の集まりです。学びの深い経営者ほど、時代の変化に対応し、柔軟で、かつ風を読むことができ、一歩先を行っています。日頃の学びの姿勢がつくりだしています。前向きでポジティブで、明るい。同友会理念が共有されています。


■新入会員さんに伝えたい~「役」を担うことの意義と喜び~

入会して、同友会の魅力を知らないまま退会されて行く方がいます。菊阿支部では、入会後3 ヵ月以内に「出番づくり」をしますが、それでも退会する方がいます。案外ゴルフをされる方は、退会されませんね。飲み方しか来ない方もいらっしゃいますが、退会はされません。これだけはするという方もいます。好きな者同士が集まるクラブ活動は、有効です。また、とりあえずの入会ではなく、オリエンテーションなどに参加していただいて、納得していただいての入会が求められます。

新入会員に役を引き受けて貰う仕組みをつくるといいかも知れません。私は嫌々ながらに入会しました。その当時を振り返れば、もし幹事長の役を引き受けなければ、間違いなく退会していたと思います。退会していれば、障がい者雇用もなかったでしょうし、事業の拡大もなかったでしょう。プレジャーワークもグループホームもありませんでした。しかし役を引き受けたお陰で、色々な経営者の方々と知り合いになり、未来が広がりました。最近も今まで知らなかった支部会員さんとの交流や委員会の担当をさせていただき、ますます人脈が広がり、それに連れ夢が膨らんでいます。




2013年12月号掲載

【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)

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