一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

核心

経営課題への解決の糸口が、ここにある!

代々受け継がれてきたのは 「革新」!

(有)瀬倉白蟻工業所 副社長(三代目経営者)瀬倉 将司(青年部会長)

(有)瀬倉白蟻工業所 副社長(三代目経営者)
瀬倉 将司(青年部会長)


■ 入会の頃

リボンガス(株)の内海社長の紹介で入会しました。 リボンガスは当社の重要な取引先で、最初は父への入 会話でした。当時私は25歳位で、分からないまま7年 近く入会を断り続けました。そんなある日、内海社長 からなかば強引に「ゲストのためのオリエンテーション」に連れて行かれ、同友会とのファーストコンタクトは最悪でした。西支部の(有)熊本装新の萩原社長と同じテーブルでしたが、態度が悪かったので叱られました。当社に入社後父以外に叱られた経験のなかった私は、腹が立ち、なんで初対面の人に叱られなければならないのかと家に帰って風呂の中で考えました。冷静になって考えると、いい会かも知れないと思い直し、早速、翌日事務局に電話して、入会。32歳でした。ちなみに、内海社長に今ではとても感謝しています。


■ 東支部に所属して

当時東支部は(株)熊本菓房の布井社長が支部長でした。幹事メンバーに(有)あらき石材の荒木社長や(有)明星印刷所の梅木社長がいて、仲良くなりました。半年後に班長、3年目には荒木社長が幹事長、私が副幹事長になりました。同友会では日々学びがあります。親父以外で叱ってくれるのは同友会の会員だけ。今も冨永顧問や津川顧問、松尾代表理事から青年部会長としてお叱りを受けます。東支部の先輩経営者からもお灸をすえられますが、役得だと考えています。また最近、同年代の仲間ができました。腹を割って相談できる人が少ない中、将来の展望、給与、福利厚生など生々しい相談ができるのも同友会の素晴らしい点です。


■ 同友会の学びから自社を見る

真面目に経営について考える会が、同友会です。 青年部会は現在126名います。私は126名の会社を任されていると考えることにしています。当社は17名ですが、将来の指示系統だとか、各部門の方々が活き活きと活躍できるようにする組織づくりの参考になっています。青年部会は活動マインドに“Try&Error”を掲げているので、ここでのErrorが実務の参考になります。


■ 自社での活かし方

自社でグループ討論を取り入れています。17名を二つに分けて行います。プラス面だけではありませんが、学んで実践して善かれ悪しかれ成果を出して、反省点を反芻して、また学んでというサイクルの実践中です。



■ 経営指針の作成

経営指針にしても、最初は私個人(32歳)で創って、2年目も9割は自分で創りました。それまでの会社には、父の頭の中以外には経営指針はありませんでした。当時役員でもなかった私が創った経営指針は、社員のだれも相手にしてくれませんでした。役員になって2年目に経営指針を創り直しました。しかし、各部門の責任者に依頼した部門計画は、義理で書いてくれるだけで実質が伴っていなかったのです。スローガンはあるが具体的な目標や数字がない。営業部門、メンテナンス部門、サービス部門と三部門ありますが、やっと最近営業とメンテナンスが創れるようにはなりましたが、メインのサービス部門は個人目標の寄せ集めで、まだまだです。全社員が経営指針に共感できるようになれるかが課題です


■ 青年部会長に立候補

推薦ではなく、立候補して2013年度青年部会長になりました。入会当初から東支部の幹事メンバーとなり、その後幹事長に就任したことは個人的に大きな学びになりました。私は「関わる方々に良くなって欲しい、より多くの喜びを提供したい」という想いがありましたが、同友会3つの目的についてもよく理解できない状態で、幹事長職にいるのは相応しくないと思い辞めました。青年部会長になって支部の垣根を越えて学び合い育ち合って支部や委員会を担うような会員が増えると、同友会への恩返しになると思い、活動の強化に取り組んでいます「。これからの時代を担う若い経営者の切磋琢磨が有名無実になってはだめだ。こういう構想で部会長をやりたい」と今の幹事メンバーの方々に話したら賛同してくれました。感謝の気持でいっぱいです。


■ 社員共育大学での苦い経験

冨永顧問に「社員共育大学に社員を送り込んだら一人辞めました」と話したら、良かったじゃないかと言われました。何が良かったのですかと尋ねたら、「理念を掲げたら、一人は残って一人は去った。理念に沿った新しい人との出会いが開けたと思えばいい」と言われました。

松尾代表理事からは「経営者がアメリカへ旅行に行こうとしているのに、僕はヨーロッパに行きたいと言う人は同じバスに乗ってはいけない。船で行くのか飛行機で行くのかは、幹部で決める。幹部で決めた事を忠実に守ってスケジューリングしていくのが一般社員さんなのだろう。ヨーロッパに行きたい社員を無理やり乗せたらどうなる?皆に悪影響を与える」と答えられたので「その人間は主力社員なのです」言うと、「いやいや、それは主力ではない。見せかけの力でしかない。理念経営に沿って経営していけば本当の主力社員は育てられる」と言われました。


■ 事業承継にあたって

私と父のなかで、代々受け継がれて来たのは「革新」ではないでしょうか。祖父は「先進性」と言います。基本精神の「温故知新」を掲げているのはそのためです。伝統を大切にしつつ、先を読む。新しい事・物・技術を取り入れてきました。創業61年目です。86歳の祖父に創業の理念を聞いたら「食わせなんけんたい」と言われました。なんで白蟻屋だったのか?聞くと、熊本一番の白蟻屋「友清白蟻」が瀬倉家とは血縁関係にあり、友清社長が廃業する時に、祖父が引き継いだとのことです。私はその話を聞くなかで、食べるためだけではなく、お役立ち、我々にしかできない仕事、我々が必要とされるフィールドがあると感じました。


■ 白蟻屋から住環境の安心・安全・快適さ提供企業へ

祖父の代は白衣で仕事をしたそうです。尊敬される仕事で、家のお医者さんだったそうです。父の代になると訪問販売が横行して、白蟻業者と訪販業者は危ないというレッテルを貼られました。今の社員には誇りを持って働けるように「私たちはハウスドクターです」と掲げて取組んでいます。

それまで同友会のグループ討論で仕事について説明する際、「白蟻の予防・駆除をするのが仕事です」と話していましたが、「その先を考えなさい」とアドバイスされ、「安心して暮らせる、快適になる」が我々の仕事だと気づかされました。


■ 同業者の全国組織の理事に

熊本の業界では異端児扱いされています。他がやらないことを率先して展開するので、不思議がられます。同業者の全国組織に加盟しており、社長の代理で参加したら業者間の足の引っ張り合いばかりで、このままでは発展はないと思い、メリットがないなら辞めると言いました。お客様はどこにいるのですか?とも言いました。君はどうしたいのかと逆に問われたので、他の団体のように一般の方々に周知して、こういう会があるのだということを知ってもらいたい、そのためには熊本城のボランティアの駆除工事をするとか、協会でイベントに出展するとか、周知を図ることが大切だと主張したら、やってみろと言われました。そこで協会の理事になり、改革を進めています。これも同友会での学びのお陰です。うちの理念には共存共栄があります。業界の発展にも貢献したいです。


(有)瀬倉白蟻工業所社屋


■ 青年部会長として

究極の社会貢献は会社が安定成長を続けて、地域に根差して雇用と納税をして、「この会社があるからこの地域は良いのだ」と思われることです。経営の維持発展に邁進し、社員も地域の皆さんも喜んでくれることをめざしています。これまで青年部会では休会・退会防止に力を注いできました。これからは仲間づくり、会勢を増やすことに力点を置き、あてにされる青年部会をめざしていきます。



2014年7月号掲載

【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)

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