各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
通れない道よりも通れる道を表示して
皆様ご存知のとおり、去る7月12日未明からのかつて経験したことのない豪雨により、阿蘇地域は甚大な被害を受けました。現在、亡くなられた方が23名、行方不明の方2名、住家・非住家合わせ2,633戸の建物被害となっております。亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申しあげます。
災害発生から4 ヵ月が過ぎ、経済界をはじめ各方面からの力強いバックアップのおかげで、復旧・復興も進んでいます。この間、県内外から多くのボランティアの皆様の援助や多くの義援金をいただきました。厚くお礼を申し上げます。私ども職員も、蒲島知事から示された3つの原則、①被災された方々の痛みを最小化すること、②単に元あった姿に戻すだけでなく、創造的な復興を目指すこと、③復旧・復興を熊本の更なる発展につなげること、を念頭に置きながら全力を尽くしております。
さて、復旧・復興を図るうえで最も大切なことは、地元住民の皆さんのニーズを的確に把握することだと考えます。この点について、印象深い出来事があります。
それは、道路の通行規制表示に関することです。今回の災害で全面通行止めになった道路がたくさん出ました。このため、迂回路を通ってもらうことになり、たとえば、「滝室坂通行止め ミルクロード迂回」といった電光表示がなされました。この表示は、道路管理者としては限られたスペースの中で簡潔に情報を伝達するという点において、至極まっとうな表示であったと言えると思います。ところが、地元、特に観光に携わる人たちにとっては不十分なのでした。つまり、「迂回」という文字を見た人たちはそれだけで「阿蘇には行けない」というイメージを持つのではないか、という懸念を持たれたのです。そこで、すぐに県、国、県警察などの関係者で協議し、速やかにこの表示を変えることにしました。つまり、「迂回」という言葉を極力使わず、「阿蘇市まで通行可」という文言を追加したのです。
また、併せて県のホームページに「阿蘇行けるモンmap(道路地図)」を掲載し、通行止めの箇所等の情報を提供したのですが、そこでも、「通れない道を表示するよりも、通れる道を表示してほしい」というご意見を頂戴し、早速手直しをいたしました。
これらのことを通じて感じたことは、情報の流し方ひとつで大きな影響が出るということと、阿蘇の観光に直結するような情報の伝達にあっては、ネガティブな表現は極力避けるべきだということです。
さらに、今回の災害では風評被害も発生し、観光客の激減を招きました。そこで県では全国に向けて「阿蘇は元気です!熊本は元気です!」キャンペーンを実施するなど、風評被害の拡大の防止に努めています。おかげさまで、観光客も戻っています。
ぜひご家族連れで復興に向けて力強く歩み始めた阿蘇においでください。心から歓迎いたします。
2012年12月号掲載
熊本県阿蘇地域振興局 局長
楢木野 史貴
昭和29年阿蘇市(波野)生。
熊本大学法文学部法科卒業後入庁。
県庁では、土木部監理課、荒尾市助役、市町村総室長、総務部次長を経て平成23年4月より故郷で勤務。
趣味はウォーキング、野球
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