各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
会員中小企業家に向けての提言
今回、中小企業家の皆様に向けた提言について、コメントさせていただくとき、大学も企業も組織体であるとの視点から、2013年に計画している大学改革にあわせて、企業を改革する時の望まれる方向性、企業にとって重要な人材育成などについて、コメントさせていだきます。
2013年4月、地域連携型の教育、成果を重視した実学教育を実現するために、九州キャンパスを改革します。全国で18の最大学部数を誇る東海大学の強みを生かして、成功しているカリキュラムの導入や、実験設備などの貸与など、連携の強さを導入します。中小企業においても、他社との連携、成功しているマネジメントシステムの導入など、自らを強くするための連携は重要だと思います。
今回の改革では具体的には、熊本キャンパスに経営学部と基盤工学部の2学部を開設させます。熊本の政策に調和する「農業」、「スポーツ」、「観光」、「グリーン」、「健康」をキーワードに、経営学部には、経営学科、観光ビジネス学科を、基盤工学部には、電気電子情報工学科、医療福祉工学科を設置します。今回の改革は、熊本地域の発展の方向性である、安全安心な農業の発展、観光立県、さらには医療・福祉の充実など、地域で必要とされる人材を育成し、地域へ貢献することを大きな目標としています。企業においても、その企業が長年培ってきた専門分野での能力を更に強化しながら、さらに時代や、地域の要請に沿った、新しい分野への展開が求められているものと思います。大学が学生から評価されなくなれば、募集停止せざるを得ないのと同様、企業もユーザーから評価されなければ、その部門は別の分野へ展開せざるを得ないと思います。
熊本において、農業分野は重要な分野であることから、阿蘇キャンパスの農学部と連携しながら、経営学科のアグリビジネス分野および電気電子情報工学科の植物生産工学分野により、生産から消費までのビジネスおよび6次産業化に貢献できる人材の育成を目指しています。太陽光エネルギーにより電力を節約し、ロボット技術や、ネットワーク・センサー技術により、植物生産の詳細な情報を取得・蓄積する技術を農業に導入できる人材を育成します。今後、農業分野では植物の生産のみならず、その生産知識の蓄積およびICT技術の積極的な導入が必要とされ、そこで活躍できる中小企業も数多く存在すると思います。
一方、熊本の重要な分野として観光分野があり、阿蘇や天草などの豊富な自然資源があることから、インバウンド型の観光の発展の要素を十分持っています。新しい観光ビジネス学科は、英語以外にも、中国語、韓国語にも力をいれており、さらに、アジアにおいてホスピタリティの分野では有名なタイのサイアム大学と協定を結んでおり、ホスピタリティに関する海外留学も可能です。企業においても、語学の重要性を再認識する必要はあるでしょうし、健康、医療、スポーツなど各種の分野と繋がることが可能な観光の分野は、注目すべき分野だと思います。
本学は、大学の建学の精神である、明日を担う強い使命感と豊かな人間性を備え、地域のリーダーとなる人材を育成する予定であり、特に、社会的実践力となる「自ら考える力」、「集い力」、「挑み力」、および「成し遂げ力」を持った学生の育成を考えており、卒業後は企業において活躍できると信じています。
2012年10月号掲載
東海大学 熊本キャンパス 新学部開設準備室 室長
中嶋 卓雄
昭和31年10月5日生まれ、熊本県出身。
熊本大学大学院工学研究科修了。
富士通を経て、平成3年熊本大学工学部助手。
13年九州東海大学応用情報工学部講師、20年東海大学への統合後、准教授。
22年東海大学産業工学部教授。
24年2月新学部開設準備室室長。
博士(工学)
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