各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
これからの超高齢社会を支える仕組みづくり
■全国有数の長寿県
本県の保健・医療・福祉の推進につきましては、日頃からご理解とご協力を賜り感謝申し上げます。
さて、先日、国立社会保障・人口問題研究所から日本の将来推計人口が発表されました。50年後の2060年には、日本の総人口は現在の1億2,806万人が、約3割減の8,674万人へと減少し、また、人口に占める65歳以上の方の高齢化率が、現在の23.0%から39.9%まではね上がるとのニュースを新聞等でご覧になった方も多いと思います。
ところで、本県が全国でも有数の長寿県であることはご存じでしょうか?
本県の平均寿命は、女性が3位、男性が10位(平成17年)です。また、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者の数は全国で7位(平成23年)という状況にあります。
一方で、本県の要介護認定者は、平成23年で約8万8,624人、認定率19.2%(全国16.9%)であり、認知症高齢者は、高齢者の10人に1人に当たる約5万人と推計され、こうした方々をいかにして支えていくかが重要な課題となっています。
■高齢者を対象とした施設等の整備や認知症対策
本県では、平成21年度から3年間で、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護等の施設・居住系サービス等を中心に、約4,100人分の施設整備が見込まれています。
併せて、認知症対策として、「地域拠点型センター」9箇所と、「基幹型センター」1箇所の2層構造からなる「熊本モデル」と呼ばれる認知症疾患医療センターの整備を行っております。さらに、地域において、認知症の方や家族の理解者、支援者となる「認知症サポーター」の養成を行い、平成23年12月末時点の本県の養成者数は、12万人を超え、都道府県人口比で3年連続全国1位を維持しています。こうした高齢者の施策に積極的に取り組んでいるところです。
■在宅医療や在宅介護の充実の必要性とそれを支える医療・介護スタッフ
また、後期高齢者の増加や認知症高齢者の増加に伴い、人生の最終ステージをどこで過ごすかということも重要な課題です。厚生労働省の調査(平成20年)によると、病気になった場合、6割以上の人が「自宅で療養したい」と答えているにもかかわらず、6割以上の方が「最期まで自宅での療養は困難」と回答しています。
高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、在宅医療や在宅介護の充実に取り組んでいくことが必要です。そのためには、医師をはじめとして看護師や介護士、その他医療・福祉の多くの関係者など、それを支えるスタッフの役割が非常に大きく、そのことを社会全体で認識することが重要です。
■「健康長寿」を目指して
昨年10月には全国健康福祉祭(ねんりんピック2011(ふれ愛)熊本)を開催し、全国から約1万人の元気な高齢者の皆様が熊本の地に集結されました。選手の平均年齢は68歳、また75歳以上の方が16%を占め、最高齢は99歳の方でした。大会では、元気で長寿を楽しんでおられる皆様のハツラツとしたプレーが随所で見られ、熊本から元気を全国に発信することができたと考えています。
目指すべきは、「健康長寿」です。今後、高齢者のスポーツ、文化活動への支援、地域貢献や世代間交流を促進する事業等、高齢者の健康、生きがいづくりにも積極的に取り組んで参りたいと考えております。
2012年3月号掲載
熊本県健康福祉部 部長
林田 直志
昭和27年8月25日生まれ、熊本市出身、立命館大学経営学部卒。
昭和50年入庁、平成13年宇城地域振興局次長、15年健康福祉部健康福祉政策課長、17年健康福祉部高齢者支援総室長、
18年健康福祉部次長、21年監査委員事務局長、23年健康福祉部長
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