各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
労使紛争の未然防止 ~労務管理のプロ社労士~
社会保険労務士(以下社労士という)法第1条に「社労士は事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に寄与する・・・」とあります。これが社労士の使命です。まさに貴団体の使命と合一するのです。
今の時代、企業を取り巻く環境のうちミクロの点から言えば、売上高、付加価値の向上、資金繰りの改善、加えて労働分配率の高止まり、そして労務管理の困難化ではないでしょうか。
社労士の業務に限って言えば、「人に関する課題=労務管理」の高度な専門家集団と言えます。例えば、労使紛争が発生し、労働組合が団体交渉を申し込んできた。どう対応したらよいのか。一般的に労使紛争は金銭的負担や精神的負担そして時間的負担が大きいと言われます。確かにその一面はありますが、最大のリスクは、特に賃金不払等の問題については使用者と労働者の間に信頼関係の喪失という溝が生じることです。だからこそ、労使紛争は未然に防止しなければなりません。労務管理のプロ集団である社労士は、労働者の採用から退職に至る間の採用・面接・人材育成・キャリア形成・職場環境・社会保険手続・年金そして退職金・失業給付といった一連の業務についてマネジメント(管理)を業としております。それぞれの業務についてPDCAを回し、現状分析を実施し改善を提言します。
熊本労働局管内でH21に発生した労働災害のうち休業は1720件、死亡は21件合計1741件ありました。斯かる労働災害は、事業主に安全配慮義務違反としての処分がなされることがあります。また過重労働(時間外労働・休日労働)等により精神疾患(うつ病等)が生じた時には健康配慮義務違反が問われることにもなります。社労士は「事業の健全な発達」と「労働者等の福祉の向上」という双方の互恵の上に立って業務をしております。
事業所において労使紛争が発生した時は熊本県社労士会が運営するADRがあります。どうぞ県会事務局へご相談下さい。専門の社労士があっせんを致します。当然守秘義務が課せられておりますので安心下さい。
我々社労士は国民目線に立ち「国民の権利擁護」のために社会奉仕するプロ集団として活動しております。無料労働相談所や街角の年金相談センター(無料)は県社労士会が運営しております。お気軽にご相談下さい。
近年、サービス経済化、I T化の進展、産業構造の変化、企業再編の活発化などにより、非正規労働者が増加しており、また雇用契約と異なる契約形態で働く業務委託、独立事業者が拡大しており、複雑な労使関係の課題が生じています。
人材育成という「ヒト」は、志・使命感・やる気があってこそ初めて、能力を発揮できるものです。つまり、仕事でのモチベーションは人の仕事力の基盤をなしています。企業側についていえば、働く者がその仕事から得る喜びや感動を語れる演出をする力量が求められる時代です。「組織」という面では、職人ではなく、組織で仕事をする者である以上、組織への貢献度、寄与度はその者に対する評価の欠かせないひとつの要素です。賃金制度は、成果主義一辺倒ではなく、組織の融和を図るため、結果的に年功的要素を取り入れることが求められています。しかし、国際的競争がさらに激しくなれば年功給序列も次第に薄れてはいくでしょう。人材をどのように評価し、賃金、報酬を定めるかという重要な問題があります。
どうぞ労務管理のプロ集団であります社労士の行動にご期待下さい。
2011年2月号掲載
熊本県社会保険労務士会 会長
松本 一喜
昭和24年1月23日生まれ
八代高校−中央大学卒、昭和52年松本事務所開設、平成8年株式会社へ組織変更、(特定社会保険労務士・中小企業診断士・行政書士)、平成19年5月から熊本県社会保険労務士会会長、現在に至る
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