各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
魅力をチャンスに ~地域活性化に向けて~
太陽がさんさんと輝く去る7月に熊本へ着任して、4か月余りが経過した。着任時に「歴史に思いが至る森と水の都」との印象を語らせて頂いた。阿蘇の連峰や金峰山など山々の緑、熊本城を囲む緑、山々の裾野へ絨毯のように拡がる田畑の緑、至る所に湧き出る透明な地下水、地下水の恵みが集まる江津湖と水前寺、歴史を内包し屹立する熊本城、夏目漱石や小泉八雲など文人の足跡が残る文化の香り、等々私の印象は間違っていなかった。
自然の恵みは、農林水産業の源となり、観光資源となっていることが実感される。そして、会議で東京に出張すると、一層、熊本が魅力的に感じられ、東京が日本全国でも、人口が異常に集中した特殊な街のように思えてくる。また、東京に生まれ育った私には、「故郷」というものがないことを改めて実感させられる。熊本に住み、「故郷(ふるさと)」という日本語の意味が初めて分かったような気もする。
熊本在住の方が、熊本の魅力を再認識することがあるとすれば、それは、きっと熊本から外に出た時なのかもしれない。九州新幹線全線開業や政令指定都市移行などを機に、観光振興や街づくりの点から、熊本を対外的にPRする機運の高まりが、報道などから見て取れる。こうした機運は、まさに、外から熊本を見つめることにもつながり、熊本の再発見を促しているのかもしれない。
さらに、こうした取組みは、地域活性化にもつながっていくと思う。当地に赴任後、様々な方にお会いし、伺った意見などを踏まえ、私なりに地域活性化のためのポイントをまとめてみた。
まず、地域の資源を利用し尽すという強い信念や理念を持ち、リーダーシップを兼ね備えたキーパーソンを発掘することである。言葉を変えると、地域の魅力に精通した人材を見つけ出すということかもしれない。こうした人材こそが、人との出会いをチャンスに変え、地域内さらには地域外との連携を生み、地域の活性化を促すのではないか。
次に、行政がこうした地域活性化の取組みを支援する体制や枠組みを整備することである。
さらに、産官学が連携して、ひとつの理念を共有し、一体となって地域活性化に取組むことである。
熊本においては、製造業で先端産業やその関連産業が生産や雇用面で大きなウェイトを持っていることは論を俟たないが、地域活性化ということでは、熊本の魅力を最大限に利用した農業、観光、そして新エネルギー、医療・介護をいかに成長産業化していくかがポイントになってくると思う。
九州財務局は、財務省の総合出先機関として、また、金融庁からの事務委任を受けて、財政、国有財産や金融などに関する業務を行っている。
地域の特性を踏まえた各種施策の実施を通じて、地域貢献に努めるとともに、地域の意見・要望や地域経済の実態を財務省及び金融庁に的確かつ迅速に伝達して、効果的な施策の形成に寄与することが財務局の使命である。
今後も、現場に足を運び、地域の実情及びニーズを的確に把握しながら、地域経済の発展にお役に立てるよう、引き続き尽力してまいりたい。
2010年12月号掲載
九州財務局 局長
井川 裕昌
昭和33年10月13日生まれ、東京都出身。
昭和57年3月東京大学経済学部卒。
同年4月大蔵省(現財務省)入省、平成10年6月名古屋国税局課税第一部長、15年7月東京国税局調査第一部長、16年7月東京国税局課税第一部長、17年7月宮内庁長官官房主計課長、19年7月関東財務局総務部長、21年7月大臣官房地方課長、22年7月九州財務局長、現在に至る
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