一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

中小企業と弁護士及び 弁護士会の更なる連携を!

今、弁護士会は中小企業の皆様に熱い視線を向けています。


格差・貧困という人権問題に取り組む中で、中小企業への対応の不十分さを痛感しました。例えば、経営状態が悪化し、破産の申立をせざるを得ないと考えるに至った時、個人であれば、法律扶助を利用して、タイムリーに相談や申立もできる場合もあるのに、企業・会社となれば、事実上は個人経営と変わらなくても、経済的な個人に対するのと同様な支援は受けられないということがありました。そして、弁護士の利用は高嶺の花とあきらめ、結局は法的救済を受けられないまま、生活を立て直せず、路頭に迷う人達が現にいらっしゃいました。


また、下請の問題や後継者問題等、保有している技術や人材・資産をいかに有効に活かして、より高い価値を生むかという時に、法的判断を経ることで、より有利な方法を見込める場合が多々あるのに、法的サービスが行き渡っているとは言えないという反省もありました。


これらの現状認識と反省を踏まえ、弁護士会では全国的取り組みとして、この春から1年間無料法律相談を始めました。まずはお電話下さい。全国共通の「ほっとダイヤル0570-001-240」です。電話番号は全国共通ですが、熊本からの電話は熊本につながります。そこで、お名前や連絡先を教えてください。すると相談を担当する弁護士から電話が入ります。面談の予約をして、弁護士の事務所などでご相談ください。


更に、熊本県弁護士会では、この春から顧問弁護士紹介制度も始めています。


どんなトラブルでも、病気と同様にまず予防です。


将来の紛争を出来るだけ減らす方策として、顧問弁護士のアドバイスを得ながら、より有利にかつトラブルを招かない、万一招いた時でも自分に有利に解決できる交渉や契約が出来れば、月々の顧問料位安いものだと思ってもらえるでしょう。


また、仮に何らかのトラブルが発生した時、より損害が小さいうちに手を打つことも、顧問弁護士に日常的に相談が出来ていれば可能です。


顧問弁護士を決めておきたいけれど、知った弁護士もいないし、どうやって見つけたらいいだろうという時、弁護士会(096-325-0913)に顧問弁護士を紹介してほしいとお電話下さい。


すると弁護士会では、申込書をお送りします。それに必要事項を記入のうえ、弁護士会に送り返して下さい。弁護士会では、その申請書をもとに、顧問弁護士紹介先として登録している弁護士に情報提供し、希望者を募ります。そして5人に絞り込んで、その名前やプロフィールを、申請して頂いた会社にお知らせします。


弁護士と依頼者の関係は、信頼関係が不可欠です。どんなに優秀な弁護士でも、それだけで信頼は得られるとは限りません。やはり人と人との関係、相性というものがあります。


だからこそ5人を紹介して、その中からご自分と相性が合いそうな人を選んで頂くことにしたのです。


顧問を頼む程ではないという時も、例えば、セクハラ、あるいはクレーム対応の仕方等々、研修がしたいなという時、弁護士会に講師派遣を依頼頂けば、弁護士会の中の専門委員会の中から、それぞれに詳しい弁護士を講師として派遣することもできます。


これからもより身近で信頼できる弁護士会を目指していきます。今後ともよろしくお願いします。


2010年11月号掲載

熊本県 弁護士会 会長 高木 絹子

熊本県 弁護士会 会長
高木 絹子

福岡市生まれ、九州大学法学部卒業後、昭和59年4月熊本市で弁護士開業。一般民事・刑事事件の他、医療問題などの業務を取り扱う
現在、本業の他、熊本大学医学部非常勤講師、公益社団法人くまもと被害者支援センター理事、熊本地方最低賃金審議会委員、熊本労働局紛争調整委員会委員、熊本県環境審議会委員、熊本市情報公開・個人情報保護審議会委員等

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