各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「わくわく都市くまもと」の経済展望
熊本市は、平成23年3月の九州新幹線鹿児島ルートが全線開業すると、福岡市~熊本市間が35分、熊本市~鹿児島市間が45分となり、九州の中央としての地理的優位性がさらに高まります。
また、平成20年10月の富合町、22年3月の城南町、植木町との合併によって、人口約72万8千人の「新熊本市」となり、全国で20番目、九州で3番目の政令指定都市移行を目指しています。
「新熊本市」の都市の規模は、人口、面積ともに他の政令指定都市に比べ規模が小さく、人口密度で見ると1k㎡あたり約1,900人となり、人口密度が近い都市は、北九州市の約2,000人や京都市の1,800人に近いコンパクトで歴史や文化が脈々と息づく城下町であるとともに、身近に現代の新しい情報や文化にあふれる魅力的な都市といえます。
一方、歴史・文化、自然環境に目を向けると、武者返しと称される石垣や、伝統的工法・技法を用い復元された本丸御殿大広間などを持つ熊本城は、平成20年度の入園者数が全国の城郭の中で1位となりました。また、阿蘇外輪から連なる大地に育まれた清れつで豊かな地下水は、上水道水源を100%賄っており、とてもおいしい天然のミネラルウォーターが水道水で味わえる日本一の地下水都市です。
産業構造をみると、卸・小売業、サービス業などの第3次産業の占める割合が約88%と高く、上通・下通をはじめとする中心市街地は九州でも有数の商業集積を形成しています。一方、農業の生産は、植木町・城南町との合併により、約450億円の産出額を誇り、政令指定都市の中でも第3位に位置し、特に、ナスとスイカについては、全国1位の産出額を誇るなど、全国有数の都市型農業が展開されることとなります。
これらの特性を生かし、これまで以上に熊本都市圏や熊本県をけん引する役割を担いながら、歴史や文化、学術研究機関が充実した国際的にも魅力的な都市となるよう、コンベンションやスポーツ大会などの誘致やその受け皿の機能強化に取り組み、人や情報の交流を活発化するとともに、観光客をはじめとする本市を訪れる人々に対して、一期一会の機会を大切にした温かいおもてなしの心と多くの本市の魅力を届け、リピーターの確保や新しい出会いに向け、市民協働で取り組む必要があります。
また、九州中央に位置する地理的優位性と、富合・城南・植木地域がもつ地域資源を最大限に生かすことで、企業誘致などを推進するとともに、大学を始めとする研究機関との産学連携や農水産物を生かし高付加価値化する農商工連携などをさらに強化することで、地域産業の振興を図ることとしています。
さらに、東アジアとの交流を強化することで、海外の情報収集や本市の魅力の発信に積極的に取り組み、交流人口の増加とともに相互理解を深め、アジアの交流拠点として一翼が担える都市に成長することが可能となります。
ここ2、3年の一大転機に、自然や文化、歴史など今持っているものを「活かし」、ネットワーク化した中でどのように地域の魅力を「創り」あげて行くかが大変重要になってきます。
中小企業家同友会の皆様には、これらの好機を活かされ、本市がめざす「まち」の姿である「わくわく都市くまもと」の実現のため、今後も引き続き、地域経済の振興にご尽力頂ければ幸いに存じます。
最後になりましたが、会員各位の事業所の益々のご発展をお祈り申し上げます。
2010年3月号掲載
熊本市経済振興局 局長
谷口 博通
昭和25年2月熊本市生まれ、昭和47年3月熊本商科大学経済学部卒業、昭和47年4月熊本市役所入庁、平成11年4月総務局財務部長、平成14年4月市長室長、平成15年4月経済振興局次長、平成16年4月市民生活局長、平成18年4月健康福祉局長、平成20年4月経済振興局長
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