各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
熊本県中小企業家に期待する
■国民や地域と共に歩む中小企業
同友会が目指す中小企業像は、①豊かな国民生活の実現に貢献し、②人々の暮らしの向上と地域経済の繁栄を保障するすぐれた製品やサービスを提供し、③地元の人々と共に地域おこしやまちづくりを行うもの(同友会理念3.を参考に筆者が作成)、とされています。まさに、国民や地域と共に歩む中小企業のあるべき姿を的確に表しているものと存じます。そして、熊本県中小企業家の皆さんは日頃の企業経営を通じてこの企業像を日々着実に実現していらっしゃると拝察いたします。
人々の暮らしは有限な地球環境に支えられています。国民や地域と共に歩む中小企業も例外ではありません。これからは、地球環境にこれ以上負荷をかけない持続可能で真に豊かな社会を築いていくことが私たちに求められています。このような社会は、低酸素社会、自然共生社会、循環型社会を構築することを通じて実現することが出来ます。
■低炭素社会、自然共生社会、循環型社会とは
低酸素社会とは、気候に悪影響を及ぼさない水準で大気中温室効果ガス濃度を安定化させると同時に、生活の豊かさを実感できる社会のことです。そこでは、省エネルギー・低炭素エネルギーの推進や資源生産性の向上などによって、二酸化炭素の排出を最小化するための配慮を徹底することが当たり前のこととなります。
自然共生社会とは、生物多様性が適切に保たれ、自然の循環に沿う形で農林水産業を含む社会経済活動を自然に調和したものとし、また様々な自然とのふれあいの場や機会を確保することにより、自然の恵みを将来にわたって享受できる社会のことです。
循環型社会とは、資源採取、生産、流通、消費、廃棄などの社会活動の全段階を通じて、廃棄物などの発生抑制や循環資源の利用などの取り組みにより、新たに採取する資源をできるだけ少なくした、環境への負荷をできる限り少なくする社会のことです。
■中小企業の取り組み
わが国は、「ものづくり大国」ですが、環境分野でも中小企業が様々な技術革新に取り組んでいます。今年の環境白書では、落差の少ない箇所での小水力発電システムを開発した事例や、微細藻類の油脂からバイオ燃料を生産する事業を耕作放棄地や休耕地を活かして展開する事例が紹介されています。
■皆さんの企業活動が真に豊かな社会を実現する
中小企業家の皆さんは、大変なご苦労をされ企業経営や技術開発をなさっています。経費削減のため、日頃から省エネや資源の有効活用に努力されています。この努力は、低酸素社会と循環型社会の実現に大きく貢献しています。
地域経済に貢献するため地元の産物をなるべく多く利用され、製品やサービスを地域社会へ供給しています。この努力は自然共生社会の実現に大きく貢献しています。
中小企業の日々の活動は、低炭素社会、自然共生社会、循環型社会を構築することに直接的にも間接的にも大きく貢献し、持続可能で真に豊かな社会を築いていくことに繋がっています。熊本県中小企業家に期待するとともに益々のご活躍を心より祈念しています。
2013年12月号掲載
環境省 九州地方環境事務所長
塚本 瑞天
昭和30年4月東京都葛飾区生まれ。
昭和55年3月信州大学大学院農学研究科修了(農学修士)。同年4月環境庁採用、平成5年7月在ケニア日本大使館一等書記官(国連環境計画担当)、平成12年7月鹿児島県環境保護課長、平成17年7月環境省大臣官房広報室長、平成21年7月自然環境局野生生物課長、平成23年4月自然環境計画課長、平成24年8月現職
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