各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
豊かな地域資源を活用した 地域経済の活性化
自主・民主・連帯の精神を運営の基本に据え、経営者としての研鑽を日々続けられている熊本県中小企業家同友会会員皆さまに敬意を表しますとともに、国民や地域と共に歩む中小企業を目指し、地域に根ざした経済活動の実践に取り組まれている事に対しまして、心より御礼申し上げます。また、昨年3月には同友会天草支部が設立され、今後天草地域の経済活動を牽引する原動力として活躍されるものと、大きな期待を寄せているところです。
さて、私は苓北町長就任以来、「安心して住めるれいほく」、「いきいきと暮らせるれいほく」、「ふるさとと呼べるれいほく」の3つを基本目標に掲げ、豊かな自然や歴史・文化をはじめとする、本町ならではの特性・資源を最大限に生かしたまちづくりに取り組んで参りました。
町の基幹産業である一次産業では、農産物として県内一の出荷量を誇る「冬レタス」や、「越冬袋がけみかん」、海産物では「天草天領®アジ、岩牡蠣」や「緋扇貝」など多くの産品があり、長年にわたる関係者皆さんの弛まぬ努力と研究によって現在、県内外で“苓北ブランド”として高い評価を得ています。また、鉱工業においても本町は今や量・質ともに世界一といわれる天草陶石の一大産地であり、併せて陶石を活用した天草陶磁器の生産・販売が行われ、平成15年には国の伝統工芸品指定を受けています。さらに、平成7年には九州電力苓北火力発電所が運転を開始。熊本県内の約8割の電力を供給する県内最大級の発電所として、県民の生活安定や、県内産業の発展に貢献しています。
ところで近年の社会情勢を見ると、アベノミクスによって経済状況が好転しているように思われますが、地方は依然として都市部に比べ低調な雇用情勢、少子高齢化による人口減少、農林水産業の後継者不足問題。さらにはTPPへの参加問題、エネルギー問題など様々な問題を抱え、地方経済は将来に向けて大きな不安要素を抱えています。
しかし私はこのような厳しい情勢であるからこそ、「ピンチをチャンス」と捉え、将来を見据えた積極的な施策の展開を行う必要があると考えます。そこで重要となるのが地域の持つ豊かな資源をいかに有効活用し、それを地域経済の活性化につなげて行くかと言うことです。
そのためにはただ現状を維持するのではなく、常に消費者や市場のニーズを把握し、販売の促進や産品の改良・開発に努める一方、他産業との連携を図りながら、今後国際的にも競争しうるブランド化の推進を行うと共に、さらなる生産性の向上や後継者の育成に努めなければなりません。
また、自然景観や歴史・文化資産、スポーツ・文化施設、あるいはインフラ設備等も魅力ある地域資源として大いに活用することができます。苓北町では富岡城を中心とした史跡や歴史資料館、天然芝のグラウンドなどを活用し、地域間交流を拡大することで、地域経済の活性化につなげたいと考えています。
これらの施策をしっかりと前進させるためにも、地域経済の牽引役である地元中小企業の皆様方のご協力が不可欠です。熊本県中小企業家同友会会員皆さまには、地域に根ざした経営者として地元資源の有益性を再確認され、新たな企業展開につなげて頂ければと思います。
最後に、熊本県中小企業家同友会の今後ますますのご発展と、会員皆様方のご健勝をご祈念申し上げます。
2014年8月号掲載
苓北町 町長
田嶋 章二
昭和22年12月15日生まれ。
昭和48年3月早稲田大学第一政治経済学部卒業。国会議員公設第一秘書を経て、平成3年1月から苓北町長に就任し、現在6期目在任中。平成23年10月から全国市町村水産業振興対策協議会会長。平成25年6月から九州地方電源地域連絡協議会会長
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