各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「逆境の中にこそ夢がある」
熊本地震から4ヵ月余、長く続いた余震もようやく収まり、中小企業家同友会の皆様も、平穏な生活に戻られ、復旧復興に向けて活動を再開されていると思います。「屈するわけにはいかない。英知を集結して逆境に立ち向かおう」という横断幕を掲げられた定時総会は大変感動しました。地震直後は何から手をつけたらいいのか判らないくらいの惨状で、多くの方が、廃業を覚悟されたと思いますが、皆さんが団結して、この逆境から着実に立ち上がられていることに敬意を表します。
本当に想像を絶する地震でした。とてつもない力が地面をえぐり、建物を揺さぶりました。被災した熊本城や阿蘇の山腹崩壊の映像がそのことを物語っています。その大きな力が熊本県の工業、商業、そして観光の中枢部を直撃し、熊本経済に甚大なる被害をもたらしました。工場や店舗の倒壊などの直接被害だけでも8000億円を超えると推計しています。
本県では産業面での震災対応方針として、「企業をつぶさない」「雇用を守る」「傷んだ産業を支える」の3つの目標を掲げました。
まず、倒産させないための資金融資。震災直後に県の制度融資の枠を500億円にまで広げ、金融機関を通じて、事業者の皆様の必要な資金確保ができるよう対応しています。今後、さらに需要は膨らむと予測されますので、躊躇せずに枠を拡大していきます。
次に倒壊した工場、店舗等の復旧については、国に働きかけ、公費で3/4を補い、上限15億円という「グループ補助金制度」を導入することに成功しました。このような補助制度は熊本では例がなく、おそらく今後も無いと思います。すでにグループの組成段階の数字で800億円を超える申請が上がっていますが、予算を使い切れば、確実に補充する対応で臨んで参ります。
また、労働面では、休業を余儀なくされている企業のため、雇用調整金の補てん率を上げるとともに、適用期間を300日に延長する措置を国に働きかけて実現していただきました。従業員を解雇することなく、事業再開を実現する環境づくりを整えています。
さらに、観光分野では、震災で発生したキャンセルなどの風評被害に対して、最大70%引きという破格のプレミアム旅行券を九州全体で大規模に発行することで、大幅に状況は改善しています。
この他にも、様々な施策を国に要望し、関係団体と連携しながら進めていますので、是非とも御活用いただきようお願いします。
平穏な日々の有難さ。そして、命さえあれば、後はなんとかなるということを、地震により再認識いたしました。復旧復興を通じて、経営者と従業員が、同業者同士が結びつきを強め、団結力を強めています。地震を体験した多くの熊本人が、こうした人生観を持つことは、熊本の大きな財産になると思っています。
蒲島知事のキャッチコピーは『逆境の中にこそ夢がある』です。震災は熊本にとって、最大のピンチには違いありませんが、その中には多くのチャンスがあります。新たなビジネスチャンスが、今まさに生まれています。
被災された事業者の皆様が一日も早く復旧されるとともに、新たなチャレンジで業績が拡大されますことを祈念しています。
2016年9月号掲載
熊本県商工観光労働部長
昭和32年7月15日生まれ、福岡県出身。熊本大学法文学部卒業。昭和56年4月熊本県庁入庁、平成24年4月商工観光労働部新産業振興局産業支援課長、26年4月商工観光労働部新産業振興局長、27年4月商工観光労働部政策審議監兼商工政策課長、28年4月商工観光労働部長
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