各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「持続的に成長できる地方経済圏の構築」
一般社団法人熊本県工業連合会会長の金森です。
熊本県工業連合会では、平成29年度は熊本地震からの復興元年として、県経済の浮揚に向けて製造業が担うべき役割は大変重要なものがあると認識し、国や県・市の復興支援メニューを活用しつつ、会員企業や大学、産業支援機関などとの連携を図りながら懸命に復旧・復興に邁進しているところです。
特に、昨年度創設拡充された熊本県中小企業等グループ施設等復旧整備補助金(いわゆるグループ補助金)については、当工業連合会グループでは177の企業等をグループ化し認定を頂き、事業総額約179億円もの規模で復旧・復興事業に取り組んでいます。
また本年度の活動スローガンを、「One for all, allfor one」~創造的復興で災害に強いものづくり企業連合を作り上げよう~として、個々の会員企業のBCPも含む事業力向上や会員企業同士の連携による新ビジネス創出のメニューを準備し、復旧・復興からさらなる発展に向けて全力で取り組んで参ります。
7月に日銀熊本支店が発表した熊本県の金融経済概観では、堅調な復興関連やグローバル需要を背景に高水準での生産が続いているとしています。また、雇用・所得面をみると、労働需給は復旧需要に直面する企業や高操業を続ける企業からの高水準の求人が続く中、求職者の減少を主因に、逼迫した状況が続いているとしています。
最近の企業経営者の会合でも人手不足が一番の話題です。人口減少や少子高齢化、そして熊本県は人口流出県であり、特に若年層の流出が多い、これらのことが要因と考えられます。若年層の社会移動は地方都市の存続に大きく影響し、地方の崩壊は国の衰退につながります。そういう意味では国の経済構造の変革が迫られているのです。それが地方創生を叫ばれている理由だと思います。つまり中央に依存せず地域の特徴を生かして外貨を稼ぎ世界とつながり、持続的に成長できる地方経済圏の構築が望まれているのです。そこに新しい産業や雇用が生まれ若年層が就職し活躍する場ができ、その活躍が経済をさらに活性化し、そのことがさらに若者を引き付ける。このような好循環を作っていく必要があると思います。熊本はその持続成長好循環の要素はたくさん持っています。例えば産業集積では熊本の強みである半導体や自動車産業をさらに伸ばしていくのはもちろん、地域資源を活用した産業や大学シーズを生かしたベンチャー企業等を熊本で育て熊本で花を咲かす仕組みを充実させていくことが重要です。また人手不足解消ではIoTやAIを使った先進的省力化投資へのサポートの必要もあるでしょう。
加えて熊本だけでなく九州のそれぞれの経済圏を結びクラスター戦略のように広域で連携し九州地方経済圏を作る経済圏の強化も不可欠です。それが世界へのビジネスに効果を発するはずです。このような地方経済圏構築に向けての産学官金の連携とマネジメントが必要だと思います。是非熊本県中小企業家同友会の皆様ともいろいろな形で連携を取らせていただきたいと考えています。
熊本県工業連合会はすでに九州の工業会の連携の構築を始めています。目的は二つです。一つは連携して海外ビジネスや海外の企業群とのビジネスを模索することです。もう一つはBCPとしての災害時の相互支援です。サプライチェーンの回復を早期化し、復興をリードする役割を担うためです。そのためにも九州の連携は重要なのです。
2017年9月号掲載
一般社団法人熊本県工業連合会
会長
金森 秀一
昭和31年3月4日生まれ、熊本市出身。熊本高校-鹿児島大学大学院工学研究科卒業。専攻は熱工学。昭和55年松下電器産業(株)入社、エアコン関係の設計開発に従事。昭和61年緒方工業(株)(現(株)オジックテクノロジーズ)入社、平成元年社長。県工連は平成7年発足時より参画。平成25年副会長、平成29年会長。高校、大学、松下電器でラグビー部
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