一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

平成さくら支援学校が、開校しました。

熊本地震からほぼ1年たった、平成29年4月、熊本市南区平成2丁目に熊本市立として初めての特別支援学校が開校しました。今年度は、高校1年生のみ3クラス22人ですが、再来年には3学年そろい卒業生を世に送り出すことになります。


校訓は、「自立・夢・挑戦」です。本校の生徒は、将来この国を支える人材となるべく、学校に通い勉強しています。自分のもっている力、隠されている才能を見つけ出し磨き上げ、社会の一員となり、社会に貢献できる人材になる事を目指してがんばっています。


私は、大学卒業後から一貫して小学校や小学校特別支援学級の担任しか勤めていませんでしたので、予想されたこととはいえ、この高校に赴任して戸惑うことが多かったのです。異動してきた教職員も同様な気持ちでした。しかし、伝統がないよさ、しがらみがないよさ、思いっきりいろんな事を試すことがきるよさがあり、ストレスを上回る面白みを感じながら職責を果たし、学校の歴史と伝統を築いているところです。


さて、本校に限らず特別支援学校全体の教育目標に関わる大きな課題が最近浮上してきました。各校ともその課題解決について模索しながら実践を積み重ね始めているところです。それは、余暇をどう過ごすかということです。これまでは、学校で勉強し、仕事に就いて「働いて生活する生徒」をどう育てるかという事が特別支援学校の大きな課題でしたが、これだけでは、何か足りないということがわかってきたのです。それが、余暇の過ごし方をどうするかということです。


仕事して生活することはとても大事なことですが、その一方で、生活の中身の充実が必要だということが卒業生の実態から浮かび上がってきたのです。人生をより充実させるため、「仕事」と「生活」の間に、「余暇」が入り込んできたイメージです。自分の趣味を楽しんで、人生を豊かにすることができる時代になってきたということでしょう。私の父母の時代には、いかに、「いのちいき」するかということで精一杯だったと思いますが、世の中豊かになり寿命も延びてきましたので、自分の人生を自分でしっかりプロデュースする必要に迫られる時代が到来したということのようです。


そのような現代社会を生きる生徒たちは、学校教育を通じてどんな事を学べばよいのか、どんな力をつけると豊かな実りある人生を送ることができるのか。すべての子どもたちが、幸せな人生を送るということはどういうことなのかを自問自答しながら平成さくらでも教育を行っています。


教育・学問によってどんな力をつけるのか、という問いに対してはさまざまな考えがありますが、私の気に入っている言葉がありますので、それをここに転載させていただきまして終わりといたします。


「学問の道は、第一に身を慎み、義をもって君を尊び、仁愛をもって父母に仕り、信を持って友に交わり、広く人を愛し、貧窮の人を憐れみ、功あれども誇らず、衣類諸道具等に至るまで、約を守り美麗をなさず、家業に疎からず、財宝は入りを量りて出だす事を知り、法を守りて家を治む。学問の道あらましかくの如し。」

石田梅岩(1695~1744)
都鄙問答(とひもんどう)より



2017年11月号掲載

熊本市立平成さくら支援学校 校長 市原 浩幸

熊本市立平成さくら支援学校
校長
市原 浩幸

昭和35年5月久留米市生まれ。父の仕事の関係で、静岡、別府、竹田などに転居。熊本大学教育学部卒業。平成29年度、健軍小学校校長から平成さくら支援学校初代校長として赴任する。趣味、油絵。銀光展、東光展、日展などに出品

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