各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
チーズはどこへ消えた?
熊本地震、九州豪雨、新型コロナウイルスの感染拡大と、県内でも地域による差はあれ、この5年間に熊本には波状的に3つの困難に見舞われており、近年においてはこのような災害が数年の間に頻発したことはありませんでした。被害や影響を受けておられる皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
コロナ禍は「広く、長く、深い」と言われ、世界中に1年以上に亘って多方面に深刻な影響を与え、これにより人々の生活が新しい行動・生活様式へと変容しており、仮にワクチン接種が行き渡り感染が終息に向かったとしても変化の流れは止まらないでしょう。特にここ1年で社会・経済環境は10年先の将来が早送りされたと言われ、この加速する変化にどう対応するかが要諦となっています。
「チーズはどこへ消えた?」(スペンサー・ジョンソン著)という大リーガーの大谷翔平選手も愛読している本をご存じでしょうか。2匹のネズミと2人の小人が迷路の中でチーズを追い求める話です。ネズミと小人はそれぞれに個性があり、状況の変化に対する行動や心理面の単純さと複雑さが描写されていて、短い物語でありながら深い内容が込められています。失敗を恐れ心配が先に立ち、変わろうとしても変われない、一歩が踏み出せず上手くいかない等々、この物語(ネズミと小人)は、今の私に対して「変化を恐れず前向きになれ!」とそっと背中を押し勇気を与えてくれる本で、いつも机に置いてあります。
2月15日付中小企業家しんぶんの「ポストコロナ社会に向けた企業の取組状況について」の記事では、2回目の緊急事態宣言前の結果でありますが、915社のうち「何らかの対策をしている」、「検討中」を合わせると87.0%の結果となっていました。特に注目したのは、対策をしている企業の取組として「新商品・新サービスの開発、研究」40.6%、「営業・販売の仕組みの見直し」37.5%と新たなことへの挑戦が多かったことです。
私共の新型コロナ感染拡大初期の対応としては、影響を受けておられる事業所に先ずは資金供給の応急対応に軸足を置いておりました。現在は、この環境変化にどう対応し、どう成長して頂くか、そのための新商品、新サービスの開発や販路拡大、副業人材の紹介・活用など、新たな事業展開に向けた課題解決に必要な伴走型の支援に取り組んでおります。前述の調査結果でも「新たなことへの挑戦」の回答が多く、私共と同じ目線であることから実効性のあるタイムリーな各種支援策をご提供してまいりたいと思います。
「従来どおりの考え方をしていては、新しいチーズは見つからない。新しいチーズを見つけることを楽しもう。」日々自らにこう言い聞かせおります。
2021年4月号掲載
熊本中央信用金庫 理事長
岡本 浩幸
芦北町出身 長崎大学卒
88年熊本中央信用金庫入庫。10年経営企画部長、12年常勤理事、16年常務理事を経て20年6月理事長
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