各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
地域経済の持続的成長の
鍵となるDXの推進
昨年7月の着任以降、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進されている自治体や企業の現場を訪問させていただいており、製造業を中心に多くの企業でDXの取組みは着実に進んでいると感じております。
一方で、昨年10月に中小企業基盤整備機構が公表した「中小企業のDX推進に関する調査」によると、「DXは必要だと思うが取り組めていない」と回答した企業が約32%となっており、課題としては、「IT・DX人材の不足」、「予算確保の難しさ」、「何から始めてよいかわからない」等が挙げられています。
そこで今回は、私がこれまで様々な方からDXの先進的取組事例を伺う中で、「中小企業のDX推進の重要なポイント」と感じたことを2点ご紹介させていただきます。
1点目は、「経営者がリーダーシップを発揮して将来に向けたDXの取組方針を明確に示すこと」です。
DX推進のためには、経営者が全ての従業員に対し、具体的に何をすればよいのか理解できるよう「ビジョン」、「戦略」、「行動指針」を示すことが重要です。ただし、既存業務を行いながらDXに取り組むことや予算確保等の難しさがあるため、まずはDXを部分的にでも導入することから始めることが有効かと思います。
その際、経営者は、DXの効果が最も期待できる業務とそれに適したデジタル技術を特定し、投資を決断する必要があります。そのためには、国や自治体の支援制度や外部の支援機関の相談窓口を活用することなどが考えられます。
部分的なデジタル化であっても、大きな省力化が図られれば、社内人材を新たな価値創造の事業に投入することが可能となり、ビジネスモデルの変革につながります。
2点目は、「従業員にDXの重要性の意識を浸透させて持続可能な推進体制を構築すること」です。
DXに成功されている企業の共通点を挙げると、まずは、デジタル技術を部分導入して省力化や働き方の改善を図り、従業員に効果を実感してもらうことから始められています。小さくてもいいので成功体験を積み重ね、DXの重要性について従業員への浸透を図ることが近道かと思います。
また、DXは業務の見える化にもつながるため、従業員の業務改善への意識が高まり、更なるDX活用への好循環も期待できると思います。
当局では、中小企業におけるDXの推進を少しでも支援できないかと考え、昨年11月に「くまもと活性化フォーラム」を開催し、地域の企業経営者等の方々とDXの先進的な取組事例を共有するとともに、今後の対応策について意見交換を行いました。
DXは、今後の地域経済の持続的成長の鍵になると思いますので、引き続き関係機関と連携し、中小企業の取組みを支援できるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。
2024年3月号掲載
九州財務局 局長河村 企彦
1964年生まれ、山口県防府市出身。
1986年4月中国財務局入局。
2018年6月国家公務員共済組合連合会総務部長、19年7月近畿財務局総務部長、21年7月独立行政法人造幣局理事を経て、23年7月から現職。
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