各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
会員中小企業家に 向けての提言
熊本県中小企業家同友会の皆様におかれましては、日頃から地域経済の牽引役としてご尽力いただいていることに対し、深甚なる敬意を表する次第でございます。また、本年3月には人吉支部が発足したとお聞きし、今後同友会の理念、精神が本市において展開されることで、新たな活力が生まれることを期待しているところでございます。
さて、今年は戦後70年の節目の年でございます。振り返りますと、我が国は、戦禍による灰塵の中から短期間で奇跡の復興を遂げてまいりました。そのことは、私たちが生きる現代社会の礎となっておりますが、そこには多くの先人たちの血のにじむような努力があったことを忘れてはなりません。
そして、成長社会から成熟社会に移行した今、私たちは、少子高齢化、人口減少などのこれまで経験したことのない課題に直面しております。国は、地方創生の名のもと各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生できるよう市町村に地域振興、活性化策を求めていることは、皆さん、ご承知のとおりでございます。
本市におきましても、将来にわたり活力ある地域社会の実現を目指し、地域の特色や資源を活かした住民に身近な施策の立案に努めておりますが、その地域最大の資源は、「歴史・文化」と「ひと」であり、これらの融合こそが地方創生の最大のテーマだと捉えております。
折しも本年4月、人吉球磨地域は、「相良700年が生んだ保守と進取の文化」として、世代を超えて受け継がれている伝承、風習、有形・無形の文化財、まちづくりの精神など、この地域のストーリーが日本遺産として認定されました。
私たちのまちは、司馬遼太郎の言葉を借りますと、歴史と文化が醸成した「日本でもっとも豊かな隠れ里」として、人々が心穏やかに暮らしてまいりました。
地方創生の最終目的は、人々がその地域で幸せに生きていくことでなければなりません。本市にとって必要なことは、今後、訪れる多くの方々に相良700年の精神文化を体感いただき、新しい文化や風習も寛容に受け入れながらも、この地域コミュニティをしっかり次世代に引き継いでいく。そうすることで、生まれて良かった、住んで良かった、来て良かった。そして、住みたい、住み続けたいと思える地域づくりを行うことであると考えています。そのためには、皆さんの力が必要です。
本市にも農業、商業、観光業と歴史を築いた生業を継承している方たちが大勢おられます。その皆さんが、歴史や自然に裏付けられた新たな価値の創造に努め、その魅力に「ひと」が集まり、また、新しい「しご と」が生まれ、地域が潤う、そのような好循環が地域に活力をもたらすものと信じております。
皆さん「ひと」が創り出す製品やサービスは、人々を豊かにするだけではなく、地域経済に繁栄をもたらす貴重な「資源」です。
皆様がそれぞれの地域でご活躍されることが、地方創生の第一歩です。地域の歴史と文化に学び、行政と民間が連携することで人々が幸せになる、そのような地域を創ってまいりましょう。
2015年11月号掲載

人吉市 市長
松岡 隼人
昭和52年7月24日生まれ、38歳。熊本県人吉市出身。熊本大学教育学部卒業、平成19年人吉市議会議員に当選(2期)、平成27年人吉市長に当選
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