各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
過重労働解消のために労働時間の見直しを
早いもので今年も残すところあとわずかとなりました。4月の熊本地震以降、多くの方が復旧復興に尽力されていると思います。熊本地震により被災された方々及び企業関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。一日も早く地震前の熊本に戻ることを願うばかりです。
さて、労働局では働くことに関連して様々な施策を実施していますが、その一部をご紹介します。最近特に過労死に関する問題が頻繁に報道されるようになってまいりました。長時間の過酷な仕事により健康被害を生じたり、ストレスの果てに自殺に至ることもあり、労働災害と認定されるケースも少なくありません。生活の糧を得るはずの労働によって命が失われるようなことは絶対にあってはらないと考えます。
折しも、現在、総理を議長とする「働き方改革実現会議」が開催されており、その中で長時間労働の是正などこれまでの働き方を見直す議論が進められています。そのほかにもさまざまなテーマで引き続き議論されますので、その推移を見守りたいと思います。
労働局におきましても、過労死等防止対策を進めております。過労死等防止対策推進法において、11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、この月間の一環として長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組の推進を図る「過重労働解消キャンペーン」を実施したほか、過労死等を防止することの重要性について国民の理解や関心を高めるため、今後「過労死等防止対策推進シンポジウム」を開催することとしています。
また、本年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」や「日本再興戦略2016」においても、「長時間労働に向けた法規制の執行強化」等が盛り込まれており、過労死の原因ともなる長時間労働の是正は政府を挙げての取組となっています。
もうしばらくすれば年末年始ですが、年次有給休暇を活用し長期休暇を取得できる数少ない機会です。年次有給休暇の取得率は平成26年度で47.6%に留まっており、近年は5割を下回る水準で推移しています。年次有給休暇の取得促進については、先述の「ニッポン一億総活躍プラン」において「企業における労使一体での年次有給休暇の取得向上」が掲げられ、また、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成28年3月30日閣議決定)においても、「観光先進国」に向けて、働き方・休み方改革を推進し、年次有給休暇の取得を促進することが求められています。
熊本においては、地震で被害を受け、そのような余裕はないとの声も聞こえてきそうであり、理解できるところですが、一方、働く方々も地震によって普段にないストレスを抱えている可能性もあり、このような時期だからこそ休暇によって休養し、心身ともにリフレッシュすることも意義のあることと考えます。
厚生労働省と熊本労働局では、時季を捉え年次有給休暇を取得しやすい環境整備を促進することとしており、年末年始における連続休暇の取得に向けた社会的気運の醸成を図るとともに、来年の休暇の計画的付与などの促進を図るため、ポスター等を活用した広報や労使の関係団体等に対する働きかけを行うこととしておりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。
2016年12月号掲載
厚生労働省 熊本労働局長
德田 剛
昭和32年生まれ、山口県下関市出身。労働省(現厚生労働省)入省後、長崎労働局総務部長、職業能力開発局主任技能検定官、労働基準局安全衛生部環境改善室長、中央労働災害防止協会技術支援部長等を経て、平成28年4月より現職。趣味は焚火、絵画鑑賞、水泳
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