各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
働き方改革による
県民総活躍社会の実現を
ご承知のとおり、6月29日に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(改正法)が可決成立しました。
さて、この働き方改革について、「長時間労働の是正や多様な働き方を実現する働き方改革を行うと、ただでさえ大変な人手不足がもっと深刻になるのではないか」というご意見をいただくことがあります。
確かに、熊本県内の有効求人倍率は平成30年度に入りましてから、3か月連続で過去最高を更新する状況となっており、管内のハローワークの所長には求人の充足に全力を挙げるよう、指示をしているところです。
しかしながら、この人手不足の背景には労働力人口(働いている又は働こうとしている人の数)の減少という構造的な要因があることに留意する必要があると考えています。
つまり、熊本県の労働力人口は、平成7年の93.6万人から平成27年には87.4万人へと6万人を超えて減少し、平成22年と比較しても約2万人減少しておりますので、この要因が大きく寄与していると考えられるからです。実際、直近の熊本県内の有効求人数が約4万4千人、有効求職者数が約2万5千人ですから、この6万人という数字がいかに大きいかご理解いただけると思います。
とはいえ、この20年間に15歳以上の人口が減ったわけではなく、その人口は平成7年も27年もほぼ同じ(約154万人)ですので、この減少は、労働力率の高い15歳〜64歳の人口が大きく減少する一方、65歳以上の人口における労働力率が上昇していないこと、熊本の女性に限ってみると55歳以降の労働力率が急激に低下していることによるものです。
逆に言えば、55歳以上の女性や65歳以上の高齢者がいきいきと働き続ける環境を作ることができれば、労働力人口を増やす余地というものが十分出てきます。
では、そうした女性や高齢者に気持ちよく働いてもらうためにはどうしたらよいのかということですが、長時間労働は難しいでしょうし、また、個々人の置かれた状況が相当異なることからすると、個々の事情に即した多様な働き方を選択できるようにする必要があります。
つまり、働き方改革は、熊本の人手不足の構造的要因を解消又は緩和するためには避けて通れない道であり、これが成功すれば県民総活躍社会として持続可能性が高まることが期待されるのです。
個々の会社においても、時間限定や地域限定という働き方を導入することによる従業員の募集の容易化、以前から勤めている職員の負担が軽減して定着率が上昇すること等による人手不足の解消、職員がよりスキルが求められる業務に集中することによる顧客満足度の上昇といった事例も出ておりますし、今後益々増えることが期待されます。
なお、改正法の施行日は一部の例外を除き来年4月1日以降であり、その運用の多くは労働政策審議会での今後の議論に委ねられましたが、同法で規定された事項のうち柱となるのは、①時間外労働の上限規制、②管理監督者を含む原則として全ての労働者の労働時間の把握、③年5日の年次有給休暇の取得の企業への義務付け及び④雇用形態にかかわらない公正の待遇の確保の4つです。
現在、監督署では中小企業の皆様への丁寧な対応をモットーに特別の体制をとっておりますのでお気軽にご相談いただきたいと思いますし、監督署では相談しにくいということであれば、熊本県働き方改革推進支援センター等への相談をお勧めいたします。
2018年9月号掲載

厚生労働省
熊本労働局 局長
神保 裕臣
昭和34年9月生まれ。昭和57年早稲田大学第一文学部卒業。同年労働省(現厚生労働省)入省。平成17年愛媛労働局総務部長、平成24年愛知労働局労働基準部長、平成26年東京労働局労働基準部長、平成27年厚生労働省労働保険審査会事務室長、平成30年4月より熊本労働局長。
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