各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
学校現場に求められるもの
~コロナ後の新しい生活様式とは~
熊本県中小企業家同友会の皆様には、日頃から本校をはじめ、特別支援学校の教育活動に御理解と御協力をいただき、心より感謝申し上げます。また、先日は「支援学校と経営者の懇談会」にもリモートで参加させていただき有難うございました。
この度は、貴会から「熊本羅針」の執筆依頼をいただきましたので、特別支援学校に限ったものではなく、学校現場全体を見据えた内容にさせていただきました。
令和4年4月に熊本県立ひのくに高等支援学校の校長として着任しました。これまで普通高校、専門高校、定時制高校、行政を経験し、この度初めての特別支援学校への勤務で、常に新鮮な気持ちで過ごしています。
新型コロナウイルス感染症による影響は、当初の予想をはるかに超えて長引き、現在は第7波への対応を行っていますが、この感染症が私たちの生活に与えた損害は非常に大きいと思います。
このことは本校に限ったことではなく、学校現場の視点から述べますと、生徒、保護者、教職員間の距離が以前に比べて明らかに遠くなってしまいました。人と人とのコミュニケーションにはタイミングがとても重要で、機会を逃すことなく直接会って話ができていれば、すぐに解決できた課題も沢山あったのではないかと思うことがあります。
新型コロナは人類にとって悪影響しか残していません。しかし、そのような中でも、ピンチをチャンスに代える要素は無いものか考えてみました。ヒントはこの新型コロナがわが国で流行り始めた時に、政府の委員会が発していた「コロナ後はコロナ前に戻すのではなく、新しい生活様式に変える必要がある。」という言葉にあると思っています。
ところが、依然として日本社会では元に戻すことが主流で、変化を好まず考えることすら諦めている人が多い気がします。政治的無関心と同様の流れが、自分たちのための改革すら放棄する風土をつくり上げています。
学校現場における最も喫緊の課題は、働き方改革と教員不足です。以前から「教員ほど割に合わない仕事はない」と周囲から指摘されてきたにも拘らず、具体的改革はできていません。残念ながら、そこに導入された「教員免許更新制度」が教員不足に追い打ちをかけました。
では、学校現場における新しい生活様式を諦めずに提案すると、どのようなものになるのでしょうか。例えば、コロナによる休校の際に活用したリモート授業があります。これは政府の「GIGAスクール構想」によって驚くほど迅速に進みました。児童生徒が一人一台端末を保有する土壌はほぼ整ったと言えます。
さて、児童生徒数が減少する中、学習塾等の教育産業はICTを活用した競争を展開しています。併せて、学校の課外授業は極力実施しない方向に舵を切りました。
教員の負担になっていたものとして、課外授業、部活動の指導による休日出勤、様々なトラブルの原因になりやすい校則があります。そのうち校則は「ブラック校則」の名のもとに早々と変革を遂げました。残りは課外授業と部活動指導によって奪われる教員の時間の回復方法です。
これらを一度に解決するのは困難ですが、思い切った発想の転換が可能ならば、「水曜日の学校閉庁」と夏休みの短縮も有りかと思います。現状では、土日は部活動の試合、模擬試験、検定試験の監督で回復の代休はほぼ取れません。生徒が登校している以上、休みを取れないのが教員の性です。長時間勤務の過労死ラインを克服するには、もはや休日を増やすしかない状況です。
水曜日については、児童生徒は一人一台端末で学習塾等の講義を自宅で受講(民間委託)すれば、教育産業の安定と教員の働き方改革が可能となり、将来的には教員の志望者不足にも歯止めが掛かることになります。
極論だと非難されるかもしれませんが、今必要なのは単純に時間外勤務を減らすといった小手先の改革ではなく、もっとドラスティックな変革なのです。私どもは主張しても、国にはほとんど聞き入れられない業界にいますので、民間企業の皆様に比べると、まだまだ意識改革には時間がかかると思います。
ただ従前に囚われるのか、それとも柔軟な発想ができるのか、コロナ後の新しい時代を真剣に考えるときが来ています。
貴会の皆様方には、今後とも特別支援学校の生徒の社会自立・職業自立の姿勢に対して、温かい眼差しで見守って頂ければ幸いです。貴会の御発展と皆様の御健勝を祈念いたします。たいへんお世話になります。
2022年10月号掲載

熊本県立ひのくに高等支援学校
校長
山本 信一郎
済々黌高校(S61卒)、東洋大学文学部卒業。平成4年に政治・経済の教諭として球磨農業高校、松橋高校、菊池高校、済々黌高校に勤務。県教育委員会高校教育課の指導主事以後は人吉高校定時制教頭、熊本商業高校教頭、済々黌高校副校長として勤務。令和4年よりひのくに高等支援学校にて校長。
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