各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「昭和100年」に想う
今年は昭和100年にあたる年だそうで、昭和生まれ昭和育ちの私にとってはうれしい響きのする年でもあります。昭和62年に熊本商科大学に赴任して以来38年、昭和、平成、令和の三世代を熊本商科大学・熊本学園大学と共に過ごしてまいりました。この間、大学の発展をこの目でみてこられたことが何よりの財産です。私が赴任してから、本館、11号館、12号館、西合志研修所・総合グラウンド、新図書館、学生会館、国際交流会館、産業資料館、水俣学現地研究センター、14号館、新1号館が次々と建設されていきました。途中、なじみの深かった1号館・2号館・3号館が熊本地震で被災して失われたことは残念でしたが、今日のキャンパスは美しい姿を取り戻し、コロナ禍を経て、学生たちも大学での学びの他にサークル活動、インターンシップ、海外留学など、大学生生活を満喫しています。
ところで、学生たちが肌身離さず持っているスマートフォンですが、50年前には考えられなかった文明の利器です。私が高校生の頃、生徒会の広報委員長を務めていたのですが、当時は鉄筆でロウ紙に原稿を書いて謄写版で印刷する、いわゆるガリ版印刷でした。今の若い人は見たこともないでしょう。大学生のころにワープロが登場してずいぶん便利になったと感動しましたが、ワープロから入ったせいか未だにローマ字変換が苦手です。大学院生のころ、大きなデスクトップ型のパソコンが出始め、その後ノートパソコンが普及し、いまや学生の手のひらには“携帯パソコン”が握られています。昭和生まれのアナログ人間には、この50年の目まぐるしい進化についていくのに精一杯でしたが、なんとか取り残されずについてこれました。
いまや、AI、データサイエンス、半導体の時代で、熊本県も半導体の受託生産で世界最大手のTSMC(台湾積体電路製造)の進出で活気づいていますが、熊本学園大学も文系総合大学として、営業・マーケティング・経理・データ分析・語学・多文化共生などの側面からTSMCとも多くの接点が持てると思っています。熊本学園大学は入学生の8割が熊本県内の高等学校出身者で占められており、卒業生の7割が熊本県内で就職しています。熊本学園創立100周年に向けたグランドデザインの下、地元のニーズを的確に捉えた大学づくりを志し、地元に貢献できる人財を輩出できる大学であり続けたいと思っています。AIの進化によって将来多くの職種がAIにとって代わられるとまことしやかにいわれていますが、人間の役割が消滅することはないと信じています。どんな仕事にしても、「最後は人」です。
2025年3月号掲載

熊本学園大学
学長林 裕
昭和34年生まれ、北九州市出身。西南学院大学商学部経営学科卒業。西南学院大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得満期退学。昭和62年4月に熊本商科大学商学部専任講師として着任。商学科長、ホスピタリティ・マネジメント学科長、商学部長、教学部長、副学長、学校法人熊本学園理事を経て、令和6年8月に学長就任。専門は、保険論。
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