各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
経営者と弁護士の協働、 その他企業家に向けての提言
企業法務に携わってきた者としてまずお伝えしたいのは、経営者と弁護士、それぞれの得意不得意と個性を知って協働することの重要性です。
経営者の中には、顧問弁護士の指摘に過度に引っ張られて商売の機会をふいにする方もいれば、意見をまったく経営判断の基礎としない(形式的にリーガルチェックにかけたことをもってよしとする等)方もいます。しかし、上手く使っていただかなければ勿体ない。
結局、経営者も弁護士も個性があり相性があるということ、それをお互いよく理解して、経営者の方々には弁護士の使い方を試行錯誤していただき、弁護士は弁護士で、経営者や担当者の人となりやリスクに対する性向を把握し、伝え方から熟考し工夫を重ねる。そうして、お互いにチューニングしていかなければならないということです。
その上で、企業を取り巻くリスクの多様化、複雑化を前にあえて4項目、わかっていてもつい等閑にされていることにつき注意喚起させていただきます。
1.労務管理の適正化
人材確保が困難な時代においては特に重要な課題です。労働トラブルは時間や費用等の資源を浪費し、従業員の士気も下げ、経営に大きな影響を及ぼします。長時間労働の是正、ハラスメント防止、適切な労働契約の締結、就業規則の整備など、今できることから取り組み、持続可能な成長につなげましょう。
2.契約の重要性とリスク管理
事業取引において、企業の権利義務を明確にする「契約」は最も基本的でかつ重要な要素です。口頭契約や曖昧な契約書による取引は紛争の原因となります。信用調査や契約条項の慎重な検討を怠ると、契約不履行等のトラブルに発展するばかりでなく、有事の際の見通しを立たせ難くします。契約締結前に弁護士の助言を受け、リスクを最小化させましょう。
3.事業承継の早期対策
中小企業が直面する課題の一つに事業承継があります。円滑な承継を行うためには、後継者選定だけでなく、株式や資産の整理、相続問題への対応が必要です。計画的な承継対策を行い、事業の継続性を確保し、従業員や取引先への影響を最小限に抑えることもできます。
4.トラブルを未然に防ぐ法務戦略
事後対応には時間と費用がかかります。問題の顕在化前に、法的リスクを把握し予防策を講じることが大切です。定期的に弁護士と相談し法的サポートを受けることで、リスクとコストをコントロール可能なものにしましょう。
熊本県弁護士会では、中小企業経営を支援するための相談体制を整えております(例えば、「ひまわりほっとダイヤル」0570−001−240・初回30分無料)。ぜひ、法律の専門家として皆様と協働する弁護士を積極的にご活用ください。
2025年4月号掲載

熊本県弁護士会
会長本田 悟士
昭和56年1月生まれ、合志市出身
平成11年 熊本高校卒業
平成15年 東京大学法学部卒業
平成17年 熊本県弁護士会登録
平成28年 熊本県弁護士会副会長
令和7年度 熊本県弁護士会会長
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