一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

産業人材育成と地元定着について

本年4月25日付けで熊本県教育長を拝命しました越猪と申します。元教員の経歴を生かし、本県教育行政を推進して参りますので、皆様方の御理解・御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

近年、全国的に少子化・人口減少が進むとともに、都市部への人口集中による地域間格差が生じています。

また、世界的なグローバル化、急速な技術革新に加え、本県ではTSMCが進出し、子供たちを取り巻く環境は大きく変化しています。さらに、産業構造は変化し、各産業で人手不足が深刻な状況にあり、人材育成への期待が高まっています。

県教育委員会では、これまで、県立学校の生徒に対する就職支援や、インターンシップをはじめ地域企業と学校が一体となったキャリア教育を推進し、人材育成と県内定着を図って参りました。

その結果、県内高校生(私立高校含む)の県内就職率は、平成28年3月の57.9%から、令和7年3月には67.1%となり、上昇傾向が続いています。

しかしながら、他都道府県と比較すると低く、県北と県央・県南で地域差があります。また、全国的にも高校生の早期離職率が高いなど課題があります。

このような中、県では、昨年8月、各産業の人材確保・育成を図るため、知事をトップとする「くまもとで働こう推進本部」を設置しました。

県教育委員会においても、本年度、就職支援員を増員し、求人開拓や早期離職防止、県内就職促進などの高校生への就職支援に取り組むこととしています。キャリア教育についても、全ての県立高校において地域の産官学金と連携して、生徒が地域企業を知る機会を創出するなど充実を図るとともに、水俣高校に全国初の半導体情報科を新設するなどして半導体関連人材育成に取り組んで参ります。

一方で、県内就職率の向上に向けては、県内企業が生徒に選ばれるという視点も大事です。県内企業においても、働きやすい職場づくりや認知度向上のためのPR活動など企業独自で様々な取組が行われており、その結果、人手不足が解消された事例があります。

例えば、通勤手当の上限額相当の補助や通勤シャトルバス運行、奨学金制度・年次有給休暇とは別の休暇制度の導入など福利厚生の充実の取組が進められています。

また、企業説明会等への参加はもとより、休日に生徒と保護者を対象に工場見学・説明会を実施するなどの積極的なPR活動が実施されています。

本県の産業人材育成と県内定着に向け、県教育委員会では就職支援や地域の産官学金と連携したキャリア教育を推進して参りますので、皆様方におかれましても、働きやすい職場づくりや積極的なPR活動、学校との連携を実施していただきますようお願いいたします。

2025年7月号掲載

熊本県教育長 越猪 浩樹

熊本県教育長越猪 浩樹

1984年熊本県公立学校教員となる。熊本県立宇土高等学校・宇土中学校長、熊本県教育委員会事務局教育指導局高校教育課長、熊本県教育委員会事務局教育指導局長、熊本県立熊本高等学校長などを 経て2021年3月退職。同年4月から学校法人熊本壺渓塾学園理事に就任。2025年4月から現職。

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