一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

優勝しても昇格できない!?構造の課題は創造で解決する

私は2024年の5月に火の国サラマンダーズの社長に就任しました。スポーツチームの経営というのは特殊なものですが、その中でも野球の独立リーグという分野はより一層特殊な環境であると言えます。どうしたらこの特殊な環境の中で多くの人々の共感を生み、応援してもらえる存在になるのか。社長に就任してからは常にこのチームが地域に必要とされる意味や価値を考えています。

野球界にはJリーグやBリーグのように昇降格がありません。サラマンダーズは各地のリーグ覇者が集うチャンピオンシップで過去に2度優勝を飾った実績があります。しかしだからと言って上位リーグに行けるわけでもなく、次の年も同じリーグ・同じチーム同士で戦うことになります。もちろんスポーツなので勝敗も楽しむ要素です。しかし、NPB(日本プロ野球機構)のように多くのファンが集うトップカテゴリーではない独立リーグにとって、昇降格がなくいつまでも超えることのできない存在がいる事実は構造的な課題と言えるでしょう。

会社ですから顧客満足度を高め、利益を出し、雇用を創出しなければなりません。そのためには多くの方に球場に足を運んでいただく必要があります。しかし、コアなファンのみならずライトな層を取り込みたいと考えた時にすでに多くの施策を行いライト層の獲得に成功しているNPB、時間や環境的にも観やすいサッカーやバスケットボールはスポーツを楽しむ選択肢として優位な位置にあります。

そのような環境下であっても野球、スポーツの持つ力で熊本を盛り上げ地域の発展に寄与するという目的を達成しなければなりません。その為には野球の試合やプレーそのものの魅力だけではない楽しさや熱くなる仕掛けを考えなければなりません。今年から台湾プロ野球との交流に着手しました。まずは台湾プロ野球からチアを呼ぶことにし、出演が実現すると盛り上がりを見せました。今後は台湾や韓国、アジア各国のチームと試合を組む新たな枠組みでの対戦を構想しています。さらにプレーオフやクライマックスシリーズ、昇降格といったようなシステムが加わると、観る人にとっても応援するモチベーションや楽しみ・満足感が向上し、リーグやチームの価値も高まると考えています。

変化する社会環境や世の中のニーズをいち早くキャッチし、それに合わせ柔軟に変化しながらも創造的なチャレンジを行い、企業を持続させることが経営者としての使命だと思います。自分に与えられた使命を全うし、これからも地域の発展のために全力で取り組んで参ります。

2025年9月号掲載

KPB Project株式会社 代表取締役社長 野島 雄大

KPB Project株式会社
代表取締役社長野島 雄大

1984年7月、熊本市生まれ。熊本学園大学付属高等学校-同大学商学部卒。大学卒業後は起業しカフェ運営の後、2011年に家業である「有限会社やま弥」に入社。2016年に社長就任。2021年に退任し、系列会社「株式会社MNHT」取締役に就任。2024年に一般社団法人熊本青年会議所理事長を務め、同年5月に独立プロ野球チーム「火の国サラマンダーズ」球団社長に就任。

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