熊本県中小企業家同友会

特集

核心

経営課題への解決の糸口が、ここにある!

理念の共有で、“目指せ!グッドカンパニー!”

(株)マツオHDC 代表取締役 松尾 孝

(株)マツオHDC 代表取締役
松尾 孝 (熊本同友会代表理事)


熊本同友会代表理事でありマツオグループ企業の松尾孝社長に、「理念経営」の核心についてお話をうかがった。


-同友会へ入会したころ

同友会への入会は、ライオンズクラブで幹事をした松尾社長が、同友会会員であったクラブ仲間から紹介されたのがきっかけだった。北支部での体験発表などを聞き「いい会だな」と思い即入会した(決断は早い)。しかしその当時色々な会で世話役をしていた松尾社長は、同友会行事参加の優先順位が落ちていき、同友会から段々足が遠いた。その後東支部の昼食会が始まり、津川康博社長や冨永寿彦社長と交流するうちに同友会との付き合いが深くなった。やがて支部長になり、同友会への理解が格段に深まったそうだ。「みなさんに役員はした方がいいよと言うのはそのためなんです。どこの会でも独特の単語というのがありますからね」。その頃、子会社が整理の危機を迎え、『理念経営』について勉強を始めた。


-「俺はなんのために経営してきたのか」・・・理念経営のきっかけ

土木建設用の機械の修理をする子会社が整理しなければならない危機に直面した時、「俺はなんのために経営してきたのか」と、愕然となった。高度成長期は大きい会社をつくる事が目的で、大きくなり過ぎて、国体が終わった頃から仕事が激減し、大切な社員の方々を路頭に迷わせる寸前まで売上が落ち込んだという。幸いその会社は、社員さんが「頑張るからやらせてください」と申し出て、再建に努力された。「お陰で、今では本社より内容がいいんですよ」と松尾社長は、ほほ笑んだ。


-経営指針を創る会

『第1期経営指針を創る会』に参加した人たちから、しきりに経営理念について説明を受けた。「その頃のわたしは『方針経営』を行っていました。創業者が作った『社是』もあるし、ただ結果的として『子会社の整理の危機』を経験して“なんのために”という問いかけが自分の中に起こった時、『理念』がしっかりしていなかったと痛感しました」。
 そこで松尾社長は「経営指針を創る会」に参加して参加1回目で『理念』が分かったつもりになって、それ以降行かなくなってしまった。「その頃作った経営指針書がありますが、今見ると幼稚な理念が書いてあります」と言って笑った。
 その後、他団体の全国会長に就任し、県外への出張などで不在がちになるのがきっかけで、『理念』を確立しないといけないと本気になって取り組むようになった。「今期で8期目になります。少しずつですが浸透していますね」。


-理念の浸透にむけて

マツオグループ企業では、理念の浸透のために毎月人財育成スクールを行なっている。同友会の例会方式で、松尾社長が理念に関わることをある程度話して、テーマを設けてグループ討議をし、各代表が発表する形を取っている。繰り返し行い、日常の業務への反映を目指しているが、まだリーダー次第でバラつきがあるという。「10年近くになり、大分安定するようになりました。お客様を大切にしなければならないことが分かってきたと感じています」。


-『理念経営』でないと人財は育たない

—わたしは、先日の「経営理念塾」で深い感銘を受けた「4つの経営形態」についてお尋ねした。—
 「『計画経営』は数字を『どんぶり勘定経営』は、お金だけを見ています。『どんぶり勘定経営』ではお金が余ると支払いに回さずに余計な物を買ってしまうじゃないですか。放漫経営がまさにそれです。また『計画経営』では人が育たないと思うんです。売上を上げる事だけを考えて、他人より時間を使って売上を上げれば『いい社員』と評価される。売上を上げる事ばかり考えて、決して“何のため”にという目的を『自分で考える』人間には育たないんではないでしょうか。『方針経営』で社員を育てたつもりで、方針を書かせようとすると全く書けない、考えきらないんです。社長からの一方通行で、社長の自己満足でしかなかった事に気づかされています。方針は社長が立てるのだから、今年はどんなことをすればいいのか待っているんです。受け身です。これが『方針経営』の実態ではないでしょうか。『なんのためにしているか』を自分事として考えきれきないと、ダメだと思うんです。そういう意味では『理念経営』でないと人財は育たないですね」。


本社工場

本社工場


-1000名までは、必ず持って行く

松尾社長は、支部長になって同友会の良さを体験し、代表理事になって真剣に勉強している。「代表理事になって4年になりますが、同友会の社会的評価は間違いなく上がっています」。色んな経済団体がある中、日常の中でこれほど勉強している団体は他にはないと断言する。「単なる拡大ではないんです。自分たちのためだけだったら、100名でも200名でもいいじゃないですか。同友会がしっかりすれば熊本の中小企業の経営環境を改善できるんです。後継者も育ちます。支部長時代は付き合いで会員を増やしていました。今は勉強会を通して増えています。いい流れが来ています。だから1000名まで到達しなければならないんですよ」と熱く語る。


-3つの軸

(株)マツオHDCでは、3つの軸で『理念経営』を実践している。1つは『人財育成スクール』で、月1回午後7時から9時まで行う。理念に基づいて課題が出される。課題は用意されているので、社員は答えを用意すればいい。「社員から課題が出るようにならなければ本物ではありません。ある時『理念が浸透しないのは社長のなにが悪いからか』と、理由を書かせました。8割の社員から返ってきた答えが『コミュニケーションが足りません』でした。答え次第では腹が立ちますが、受けて立つ気持ちがなければ理念の浸透はできません。わたしが一方的に話をするだけで、社員の言 葉に耳を傾けていないんだろうなと思いました」。
 社員の方は自分らで勉強している。「理念と経営」という書籍を使ってグループ討論を行う。「いい話をしているんですが、まだまだ日常で十分生かされていないですね」と苦笑。
 「理念はシンプルにしています」と語る。「弊社の理念である“グッドカンパニー”は3回目の『経営指針を創る会』で発表しました」。
 よい会社とはなにかをいつも追求している。「高度成長期は大きな会社をつくる事が目的で、子会社を整理の危機に追い込みました。振り返って見ると、大きくなるのは自己満足でしかありませんでした。大切な社員を路頭に迷わせるところでした。理念が間違っていたんです。大きい会社よりグッドカンパニー、『いい会社』これだと思ったんです」。当時、役員の米村浩幸さんや上野浄則さんが何かにつけ「理念だ。理念だ」と言われたことを、うるさいと思って「理念より実績だ!」と反発をした時期もあった。「本格的に勉強し始めたのは、代表理事になってからかも知れませんね。早く気付いていれば良かった」。今は月に1回の「経営会議」と「アクションプランという方針のプログラム検討会」と「人財育成スクール」の3 つが軸で、細々したことは後継者の方へ、徐々に任せるようにしている。「それも経営指針があってこそ出来ることだと思っています」。



2012年8月号掲載

【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)

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