経営課題への解決の糸口が、ここにある!
創立50周年を目指しただいま驀進中!
(株)AZUMA 代表取締役
上田 裕子 (熊本同友会副代表理事)
熊本同友会に入会して21年目の今年、副代表理事に就任、また2年後には創立50周年を迎える一般貨物運送業を中心とした(株)AZUMAの上田裕子社長に、波乱に満ちた人生と同友会の魅力、またその実践について伺った。
-26歳で事業を承継
1965年に父が創業した会社に、事務員として入社しました。3年ほどたった頃、窮地に立たされた父から「運送会社では儲からないのでやめようか」と相談され、せっかく大学進学を断念してまで会社に入ったのに・・・という想いがあったので父に話して事業を承継する事になりました。26歳で社長に就任しましたが、今まで見えていなかった経営課題が次々と顕在化してきました。前に進むしかないと思い、一つひとつ改善しながら夢の持てる職場をめざしてきました。
-ドライバーの事故で巨額の負債
当時はまだ、社内を良くしていくためのマニュアルが整備されていませんでした。また、管理者もいないなか、新入社員が事故を起こしました。そのため巨額の負債を背負いました。しかしこのピンチをチャンスに変えようと、マニュアルづくりに着手しました。また、地元運送会社の「継運会」に参加し、経営者としての勉強も始めました。
-同友会へのユニークな入会
熊本同友会には1992年に入会しましたが、紹介者はいません。熊本同友会から届いた一通のDMに大阪同友会の運送会社の社長の講演会があると知り参加しました。その講演の素晴らしさと同友会理念に魅かれ、「これだ!」と思って入会しました。
-同友会を生かす経営
同友会理念の三つの目的の一つである「よい会社」をつくろうと、社内勉強会を始めました。私が講師となって、社員に会社の将来のビジョンを語りました。現状の課題をどう解決していくか専門家も交えて話し合いました。社員との、また社員同士の信頼関係を築くため食事会やバーベキュー、社員旅行等もしました。それらを続けていくと次第に変化が出はじめ、社内が和気あいあいとなっていき全社一丸の基礎ができました。
-経営労働委員長に就任して
2007年度より経営指針委員会の委員長(現経営労働委員会)に就任し、6年間務めました。最初の1〜2年は、周りの皆さんに支えられながら、3年目からは自分のカラーを出し方向性を示すようになりました。委員会では、自分がどんな理念を持って経営しているか、どんなステージで事業を行うのか等を学び合いながら、自社の経営に生かしていこうと取り組んでいます。経営理念等をつくるのが目的でなく、いわば「理念経営」を実践していくことですね。そのために、重要となる下記の6つの項目を重要視しています。
1.なんのために経営するのか。
2.自社固有の役割はなにか。
3.自分の価値観・人生観はなにか。
4.顧客に対する姿勢。
5.社員に対する姿勢。
6.市場とか社会に対する取り組み。
昨年の経営理念塾でグループ討論中の上田社長(中央)
-理念と現実の狭間
経営の中では必ず理想と現実の違いが出てきます。いわゆるグレーゾーンですね。そこを「理念、理念」と四角四面に対処しようとすると、社内がぎくしゃくします。人として人情もありますし、余裕を作ってあげることも大切です。何もかもを厳密に対処せずに状況に応じて判断するよう心がけています。
-2年後の創立50周年に向けて
2015年7月に創立50周年を迎えます。記念パーティをしたいと考えていますし、社員に対しての「規定集」も作りたいと思います。その中にこれまでの会社の歴史や求められる社員像なども入れ、事業承継のために役に立てたいです。また、リスクマネージメント、クレーム処理のマニュアルづくりも計画しています。
-事業承継について
24歳の長男が県外の運送業界に勤めています。2008年3月に開催された第38回中小企業問題全国研究集会in宮城で報告者として登壇した際、大学生だった長男を連れて参加しました。私の報告を聞いて「頑張らなん」と言ってくれました。次男は、自動車の修理が好きで、大手自動車メーカーに勤務しています。私の夢は、運輸部門を長男が、整備部門を次男が経営してくれる事です。三男は、高校3年生で簿記の勉強をしています。将来が楽しみです。
-同友会の学びについて
上から目線で人の話を聞かないように心掛けています。直接関連のないと思える話でも、自社に取り入れることができないか考えながら聞きます。そうすると常に一つ二つは自社へのお土産を持って帰れます。だから同友会に参加すると元気になれるし、マンネリ化を防ぐことができます。同友会に参加して、他人の話を謙虚に聞くと、もう一回頑張ろうという新鮮な気持ちになりますし、それだけの学びがあるのです。そして、それを社内で実践し、納得しないことは改善していきます。その繰り返しが大切だと感じています。
-同友会の素晴らしさ
まず、経営指針書をつくる基礎を教えていただきました。また、異業種の方が多くいらっしゃるので、色々ご相談ができ、人脈も広がり、示唆に富んだアドバイスをいただけることが私を成長させてくれたと感謝しています。
-感謝、感心、感動に環境をプラス
社員には、感謝、感心、感動、を感じられる人であって欲しいと思います。というのも次元の違う人に言っても伝わらないからです。自分と同じ感性の人だったり、感謝する気持ちがあったり、感動する気持ちとか、人間力のある集団にしていきたいのです。最近は環境をプラスして、環境にも配慮できる人材を求めています。
2013年8月号掲載
【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)
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