熊本県中小企業家同友会

特集

核心

経営課題への解決の糸口が、ここにある!

経営者の強い想いが社員を動かす!

(株)ソニックコンサルティング 代表取締役 (株)ソニックジャパン 熊本支社長 森川 俊秀(副代表理事)

(株)ソニックコンサルティング 代表取締役
(株)ソニックジャパン 熊本支社長 森川 俊秀(副代表理事)


<今回の核心>

38歳まで地場医薬品卸の会社に勤務し、その後大手生命保険会社に転職。3年間頑張った結果、生活は安定。新しい契約がなくても一定の年収位は稼ぐ事ができた。それで足が止まった。こんなものかと思った。これではいけないと、経営者のためのセミナーに参加し猛勉強。朝5時30分から7時30分まで週3回の勉強会に通った。2003年に退職し、(株)ソニックコンサルティングを設立。個人向けに加え法人向けにもフィールドを広げる事を決意。「経営者の想いや悩みを知らなければ仕事はできない」と自ら志願して熊本同友会に入会。入会直後から「仲間づくり委員会」に所属し、その後委員長を務めることにより、経営者としてのリーダーシップのあり方やあてにしあてにされる人間関係の大切さを学んだ。

今回の「核心-森川社長篇」は、2年間で純増200名を達成させた森川さんの核心をお伝えします。


■経営者の想いや悩みを知りたい!

入会して10年になります。2003年の9月に独立し、その年の11月に(有)呉服薬局の鬼﨑信文社長の紹介で入会しました。鬼﨑社長は、大手製薬会社でMR(医薬品メーカーの医薬情報担当者)をされ、その後独立されました。業界内だけでは広がらない人脈づくりや経営者としての資質向上のために同友会に入会されたそうです。

私の場合、生命保険会社時代にも入会の意志はありましたが、熊本同友会の規約で入会はできませんでした。(株)ソニックコンサルティングを設立し経営者になりましたので、晴れて入会できました。

当時私は、個人のお客様を中心に保険のセールスを行っていましたが、法人を扱いたく、保険を通して企業コンサルタントを目指していました。しかし、サラリーマンの経験しかない私には経営者の方々の想いとか悩みとかが分かりません。法人を相手にする以上は、経営者を知らなければならない。そう思い、自ら志願して入会しました。私は数少ない志願兵なのです(笑)。


■「一隅を照らす」の実践

2005年度から仲間づくりの委員になりました。委員時代は3 ~ 4人位が集まって会員増強について話してはいたものの「どうしようか?」程度で終わって、先に進みませんでした。

2007年度に、仲間づくり委員長になりました。会員数は505名。委員時代は「自分が率先して努力しなければ」という意識はあまりありませんでしたが、委員長になると自分の想いと行動次第で委員会全体が左右されます。私は、どういう委員長になるべきかを考えました。一つの選択肢としては、頑張ったふりだけをして理事会では「頑張ってはいるのですが…」と言って済ませるという考え方。もう一つは、仲間づくり委員長として、少しでも光り輝いて同友会や皆さんに貢献できればという考え方です。

私の座右の銘は「一隅を照らす」です。自分が一生懸命頑張って光輝き、少しでも片隅でもいいから良い影響を与えられる存在になりたいという想いです。考えた結果一生懸命頑張る方を選択しました。


■委員長の本気を伝える

決めた以上は、「仲間づくりは本当に必要か」「意味は何か」「私たちがやろうとすることは正しいことか、間違いか」しっかり自分の中で咀嚼して、理解して腹に据えて取り組まねば、会員さんに呼びかけることができないと考えました。私がどう思い考えるかが、皆さんに影響するからです。そこで先輩理事に話を聞いたり、仲間づくりの冊子を読んだりしました。結果「これは正しいことだ」と確信し、仲間づくり委員の方々や同友会に積極的に参加している理事の方々に訴えることにチャレンジしました。しかし結果は「打てど響かず」でした。

理事会でも同じでした。そこで私の決意を、どれだけ自分が本気かを伝えようと委員長自ら退路を断つ覚悟を決め、7月の理事会で「目標を純増100名とし、70%達成の祝賀会を10月26日に行います」と宣言しました。また翌年の2月22日に「100%達成の祝賀会をします」と宣言しました。終了後、先輩理事の方々から「森川君は本気のようだね」と言われ、それをきっかけに自分自身と熊本同友会の仲間づくりの動きに変化があらわれはじめました。


■具体的な行動で純増100名を達成!

具体的な戦術として、同友会に入会してもらいたいゲストをリスト化し、理事会で状況を出し合いながら具体的に行動に結びつけたいと「紹介者リスト」の活用をはじめました。企業経営と同じで、結果を出すための何の資料もない状況では具体的な話ができません。そして同友会を知ってもらう例会「ゲストのためのオリエンテーション」をはじめました。

しかし、仕組みは作ったもののなかなか紹介してもらえませんでした。そこで一人ひとり個別に電話したり会ったりして「わずかの可能性の方でもいいからリストに書いて下さい。あなたが書かないと、みんな書かない。あなたが書けば、周りも皆頑張っているという気持ちになって書いてくれますから」とお願いしてまわりました。その甲斐あって一人また一人と紹介があがってくると、紹介していない人にも好影響を与え、さらに紹介が増え入会にも結びつき、目標を達成できました。600名達成の祝賀会は、中同協の鋤柄修会長も招き盛大に行いました。


■100名の純増は画期的な出来事

翌年度も委員長を務めましたが、当初燃え尽き症候群のようになっていた私に、今度は理事やまわりの方々がはっぱをかけて下さいました。2009年2月に第39回中小企業問題全国研究集会を熊本で設営したことも追い風となり、結果また100名純増を達成。2年間で500名から700名になり、1000名をめざす気運が高まり2009年度から仲間づくり(1000名)推進本部に名称を変更しました。本部長になった(株)熊本菓房の布井吉治社長はゆ~ほく、緑郷、天草と3支部設立に尽力され、700名の会員を減らさず2012年度末には900名を達成されました。900名まで持っていくには、私と別の大変さがあったと思います。特に天草支部設立にあたっては並々ならぬ覚悟で自ら動いて仲間を集め、それを皆が見て奮起しました。布井社長の頑張りには脱帽です。




■仲間づくり委員長になって得た事

委員長をして思ったのは、「上に立つ者がどれだけ本気で、覚悟を持ってやっているかを実践で示さないと周りは本気にはならない」ということでした。同友会活動は、給料を貰ってやっている訳ではないし、人事評価がある訳でもありません。紹介をしなくても、自社の経営に何の影響もないと思われがちだと思います。しかし、同友会の3つの目的「よい会社」「よい経営者」「よい経営環境」の実現をめざしていくには、多くの仲間の経験と知恵が必要です。いわゆる辞書の一ページを皆で協力して増やすことが自社の経営の発展に繋がっていくのだと思います。そのことを多くの会員に理解してもらうためには、まず役員自らが率先して動かないといけません。それは企業経営でも同じではないでしょうか。社長が率先して動かなければ、社員は動きません。

医薬品卸の会社に勤務していた頃、全国的に有名な熊本市内の小児科を担当していました。そのドクターの奥さんが経営手腕の凄い方で、私が独立にあたって挨拶に行った時、「社員の5倍仕事をしなさい」と言われたことを今でも覚えています。経営者はそれくらい努力しないとダメだと思います。


■お客様の人生の役に立つ仕事を

3人ではじめた会社でしたが、10年が経ち現在では57名が在籍する組織となりました。保険業界は合併再編が進み、厳しい状況が続いていますが、当社は未だ誰一人辞めていません。当社で働くことが誇りだと言ってもらえています。それは、当社の「お客様の夢の実現に貢献したい」という想いに共感した方が入社しており、競争至上主義ではなく、お互いを尊重する社風となっているからだと思います。法改正によりこれからますます取り巻く環境は厳しくなりますが、お客様の人生の役に立つ仕事を仲間と共に追求していきたいと思います。




2014年2月号掲載

【インタビュー】
(株)ゆうプランニング 代表取締役 木村 正夫
(熊本同友会広報委員長)

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