熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

経済社会の変化の中で地元中小企業の活躍の余地は増大 ~地域の特性・ニーズに応じた付加価値の高い商品・サービスの提供を~

財務局は業務の一つとして金融機関の監督を行っているが、地域金融機関の借り手の多くは中小企業であることから、間接的ではあるが財務局と中小企業との関わりは深い。中小企業金融の関係で昨今の話題と言えば、何と言っても中小企業金融円滑化法が本年度末で終了することであり、これについては中小企業の真の意味での経営改善につながる支援を強力に推進すべく、現在金融庁を中心に中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化などの取り組みを、全力を挙げて進めているところである。


また、財務局は広い意味で財務省・金融庁の地方における言わば「窓口」としての役割も担っている。勿論、財務局が熊本県における国全体の代表というわけではないが、国が行う施策・事業で資金を要しない(少なくとも国の資金が絡まない)ものはないと言ってよいであろう。その意味で、財務局としては地域の様々な声に耳を傾けながら、地域の特性・要望等を踏まえ地域貢献を果たしていくこと、中でも中小企業と関連の深い地域経済の活性化に向けて、中央とのパイプを生かしながら、ノウハウの提供や知恵を出すといったことなどにより役割を果たしていくことも重要と考えている。


地域活性化を考える上で重要なポイントは全国的な少子高齢化の進展及び人口減少傾向であるが、少なくとも短期的にはこれらの傾向に歯止めはかからない。問題は人口が減少することでなく、人口減少に伴い地域住民一人ひとりの生活水準や満足度の低下を招いたり、生活の安定を脅かしたりすることであろう。


熊本に赴任した7月以降の印象であるので、あるいは認識に誤りがあるかもしれないが、私の印象では、首都圏や近畿圏といった大都市圏に比べれば、その経済規模は小さいものの、九州は大まかに見れば一つの経済(及び社会)圏を成しており、また九州各県は九州経済圏という大きな括りの中にありながらも、他地域の都道府県に比べればそれぞれ独自性を有し、各県毎にまとまりが強いように思われる。このような九州各県が有する特徴を今後の県経済社会、ミクロ的に見れば地元企業の動向を考えるに当たっての強みとして活用していくことはできないか。


言うまでもなく、多くの事業者にとって人口減少は国内市場規模の縮小を意味し、売上げの低下に繋がるものである。しかしながら、生活の豊かさが向上し商品・サービスの提供にも多様性が求められる時代においては、特に熊本県の場合大企業が相対的に少ないということもあり、地域住民(=熊本県民)のニーズをきめ細かく捉え、その上で地域の特性を生かし地域独自の商品・サービスを提供しうる地元中小企業の活躍の余地が大きくなってきていると言えるのではないか。更に、「地域」の概念を九州経済圏にまで拡大して考えれば、九州全体を対象とした活躍の余地も大いにあると考える。


勿論、地元企業にとって日本全国や海外をターゲットとして市場開拓を図るという気概を持つことも重要であろうが、全ての企業にそのような戦略を期待することは現実的でないであろう。多くの地元中小企業にとっては、地域の特性・ニーズに応じた付加価値の高い商品・サービスで勝負することがそれぞれの活路を開くことに繋がるのではないだろうか。


2012年11月号掲載

九州財務局 局長 池田 潤

九州財務局 局長
池田 潤

昭和34年9月2日生、東京都出身、東京工業大学大学院(社会工学)(昭和59年3月修)、同年4月大蔵省(現財務省)入省、 平成元年7月豊岡税務署長、平成16年8月大臣官房企画官、平成21年7月関東財務局東京事務所長、平成22年7月関東財務局総 務部長、平成23年7月大臣官房会計課長、平成24年7月九州財務局長、現在に至る

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