熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

熊本の輝く将来に向けてチャレンジを

最近、公務で近隣諸国の大学に出かけることも多い。特に東アジアの経済発展は目覚ましく、若者が元気である。このような若者と話していると、こちらも元気になって楽しくなってくる。アジア諸国は、リーマンショック等の世界経済の危機を自らの力で克服しているという自負も強い。このような状況を直接見るにつけ、地域社会を担う中小企業家の皆様が東アジアの経済発展をもっと取り込んで発展できないものかと常々気になっている。このピンチをチャンスに変えるためにも、熊本地域の強さは何かを再度検証して、産業戦略の再構築を踏まえた取り組みが必要になる。


将来を見据えて、今日の九州や熊本の特徴を考えてみると、諸兄の意見等が大方一致するところとして、国際化(アジア)、環境、健康、観光等がキーワードとなる。とりわけ、熊本の良さを理解いただくためにも「観光」の重要性は益々大きくなる。特に熊本は、歴史と文化の香り豊かな土地柄であり、九州新幹線の全線開通や政令都市化等で、ここ数年、話題に事欠かない。もとより、「観光」は「人の交流」や「モノの流通」を内包するもので、その周辺を含めた副次効果は大きく幅広い。


熊本地域の14の高等教育機関の連合体である「高等教育コンソーシアム熊本」は、地域の発展を支える力となることを目指している。地方においては、高等教育機関の存在自体、大きな経済効果をもたらしているが、若者の存在は、何事にも代え難い地域の活性化の大きな要素である。また特に、学には近隣諸国をはじめ世界からの留学生が存在する。


留学生がその母国の人々や母国からの訪問者に熊本の素晴らしさを語れば、熊本と世界を繋ぐために大いに役立つばかりか観光客の誘致に一役買うことになる。まずは、留学生向けの熊本案内観光ボランテイアガイドのための講座をはじめたところである。本学の夏の二週間の短期留学制度は、既に数年来、実施して好評である。留学生を主役にして活躍させる取り組みは、組織の国際化への早道でもある。国際化とは、我が国の文化やアイデンティティを大切にすることでもある。留学生を活用して特にアジアを見据えた産業の育成も真剣に考えるべきである。


本学の五高記念館等の煉瓦づくりの建造物は、趣があって大きな歴史的観光資源でもある。今年から、この記念館等を活用して1週間程度の滞在型の熊本歴史探訪講座(第1回熊本大学サマースクール)も開催する。今年は「五高記念館で漱石を学ぶ」と銘打って漱石三昧を楽しんでいただく。熊本を知っていただくための知的な滞在型「観光」事業としたい。今後、事業内容に改良を加えて、この事業を、各地からの「観光客」に熊本のファンとなっていただく機会に、また、地域の多様な産物の知名度の向上やブランド化にも一役買えるイベントに成長させたい。


壮大な自然と環境豊かな土地柄は、良質の水や食材としての良質な農林水産物を育んでいる。また、高度な医療水準とともに、心安らぐ安全・安心地域でもある。その周辺には新しいビジネスも広がっている。これらの特徴を生かした地場の企業家集団の大いなるチャレンジに期待したい。さらに、学や行政に加えて市民の皆様などが一体となって、人々が集まる文化・環境・教育研究都市としての熊本を、さらに魅力ある希望に満ちた地域へと進化させたい。


2010年7月号掲載

熊本大学 学長
谷口 功

昭和22年10月24日生まれ、奈良県出身。
昭和50年東京工業大学大学院理工学研究科(博士課程)修了、52年熊本大学工学部助手、平成2年熊本大学工学部教授、14年熊本大学工学部長(平成20年11月まで三期連続)、21年国立大学法人熊本大学長に就任。専門は工業物理化学、電気化学

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