熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

いま、熊本市の政令指定都市移行に向けて認識すべきこと

去る10月16日、来年3月23日をもって城南町と植木町を熊本市に編入する旨の総務大臣の官報告示が行われた。これにより、来春人口約73万人の新・熊本市が誕生することが法的に確定したわけであるが、と同時に、熊本市が政令指定都市へ移行するための要件をクリアすることとなった。


熊本市は現在、中核市であるため、指定都市制度を中核市の延長線上にある制度として理解する向きもあろう。現行の指定都市制度はその沿革を、明治22年の三市特例(東京市、京都市、大阪市)特例や、大正11年に制定された六大都市行政監督特例(三市に横浜市、名古屋市、神戸市を追加)にまでさかのぼることができる。つまり、戦前からの旧六大都市クラスの大都市に都道府県並みの権能と位置づけを与えるのが指定都市制度の趣旨であり、地方分権改革の流れの中で、平成7年に創設された市町村の権限特例制度である中核市制度とは、意味あいが大きく異なっている。


では、指定都市になると熊本はどう変わるのか。行政組織面における最大の変化は、行政区及び区役所の設置である。区役所とは現在の市民センターの拡大版ではない。指定都市に行政区が法律で必置とされているのは、指定都市となるような大都市では人口や都市規模が拡大し、市町村本来の住民自治の機能が十分発揮できない可能性があることから、区を設置し、いわば市役所の機能を区役所で果たさせようとする趣旨である。このため、市議会議員の選挙も、これまでのように全市を選挙区とするのではなく、新たに設置される区が選挙区となって実施されることになる。誤解を恐れずにいうなら、区ごとを市とみなして、市役所(=区役所)を設置することに等しい。


事務権限においては、道路管理が大きく変わる。現在、熊本市内の国、熊本県、熊本市の3者が管理する道路が入り乱れているが、指定都市になれば、一部の主要国道を除き、ほぼ全ての道路の管理権限が熊本市に帰属する。また、現在、県が持つ小中学校教職員の人事権も市に移されるほか、都市計画や大規模小売店舗立地に関する権限も熊本市のものとなる。行政サービス、まちづくり、産業振興などに関して、これまで県と市が分けて持ってきた様々な行政権限を熊本市が一元的に行使できる意義は大きい。


こうした行政組織や事務権限の特例に加え、「指定都市だけに与えられる資格」も認識しなければならない。新型インフルエンザへの対応や新たに制定された法令の施行通知など、霞が関から地方へ向けて毎日発出される数多くの行政文書の宛先は、都道府県知事及び指定都市市長である。霞が関で開催される説明会等に出席できるのも、都道府県と指定都市だけである。つまり、市町村の中で指定都市だけが日常的に中央政府と直接対話できる資格を与えられている。また国から都道府県並みの権限を持つにふさわしいと認定された、全国で20しかない大都市としてのブランド力を得ることは、有形無形の都市のイメージアップにつながり、企業進出や雇用拡大への期待も大きい。


新幹線開業と指定都市への移行がほぼ同時に実現する都市は、これまでも、そしてこれからも熊本市以外には存在しない。指定都市になって得られる様々な資格やメリットを、市民、企業、行政などの力を結集してどう活かすのか、熊本の真価が問われる日はすぐそこまで来ている。


2009年11月号掲載

熊本市 副市長
寺﨑 秀俊

昭和43年神戸市生まれ、平成3年3月東京大学法学部卒業、同年4月自治省入省、12年4月鹿児島県財政課長、14年4月総務省大臣官房企画課課長補佐、19年7月総務省自治税務企画官、20年7月総務省大臣官房広報室長、21年4月より現職

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