熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

「総合性」を発揮する

今年、区役所は開設3年目となりました。当初から区役所の役割とされてきたのが、「身近な行政窓口」と「区の特性を活かしたまちづくり」の二つです。いずれも手探りのスタートでしたが、特に「身近な・・」の具体的なイメージがなかなか固まりませんでした。


「身近な・・」の中身は区の事情によって多少異なると思います。中央区役所は従来の市役所窓口の形をそのまま引き継いだため、最も変化を感じにくく、事実、窓口利用者の数も市役所時代とはそう変わっていません。利用頻度の多い窓口を集約して利便性を高めただけでは、もともと窓口があった中央区では「身近になった」という感覚はありません。そこで何が必要か?を考えてきましたが、実態を通して一つの方向が見えてきました。そのキーワードは「総合性」です。


お客様は解決したいさまざまな用件(課題)を持って、各窓口を訪ねられます。しかし、これら窓口の分業はあくまでも役所の都合であって、お客様は一人の生活者として総合的な存在です。その当たり前のことを分業化が進んでいた市役所時代は意識しにくかったのではないか、と今にして思います。


区役所では一つの課で扱う行政サービスの内容が増え、職員はこれまでより幅広い間口でお客様に対応することになっています。また身近な課題に関する担当課が役所内に集約されているため、他の窓口との連携がこれまで以上に容易になりました。そしてこのメリットを最大限に活かせるかどうかは、お客様の課題を担当業務で輪切りにするのでなく、課題の全体像を捉えて対応しようとする職員の意識の持ちようにかかっています。


「もしかすると別のことでも困っているかもしれない、もう少し詳しく話を聞いてみよう」とか、「この方の事情は複雑だから、誤解のないよう次の窓口に一言伝えておこう」というように、行政サービスのプロとしての想像力を働かせ、もう一歩踏み込む姿勢が求められるのです。担当業務の範囲にとらわれない総合的な視点で課題をとらえ、窓口が連携して行政サービスを総合的に提供するのが区役所の役割であり、職員が課題を抱えるお客様の困り感そのものに寄り添う中でこそ、窓口をより「身近に」感じていただけるのだと思います。


この総合的な視点は、区役所のもう一つの役割である「区の特性を生かしたまちづくり」の中でも常に感じることです。まちづくりでは、職員は可能な限り地域に出向いて直に住民の方々と話し、現場に直接触れることで、「身近な」関係を築き、地域や住民が抱える課題の改善策を一緒に考えます。まちづくりの課題は単体で存在するのではなく、そこに住む人たちの生活そのものや地域の中に複合的に存在していて、その全体像を捉える視点は欠かせません。


「総合性」という点において、冒頭の区役所の二つの役割は重なります。そして、区役所の三つ目の役割が、窓口や地域で職員が直に感じ取った市民のニーズを政策に反映させるためのパイプ役です。区役所の働きによって市民ニーズや地域の実態がよりきめ細かに、かつ総合的に把握され、それらが反映された市政運営が実現することは、市民の住みよさ、暮らしやすさの実感に直結します。このことが市民にとって政令市の最大の意義でもあります。区役所職員の使命はなかなか大きいと思っています。



2014年9月号掲載

熊本市 中央区長 前渕 啓子

熊本市 中央区長
前渕 啓子

昭和29年熊本市生まれ。
熊本大学法文学部卒。53年熊本市に入庁。環境企画課長、国際交流課長、生涯学習課長、文化生活部長、市民生活局次長、子ども未来局長を歴任し、平成24年から熊本市中央区長

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