熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

創造的復興に向けて

未曽有の被害をもたらした熊本地震から一年以上が経過しました。この間、国、他都道府県、市町村の支援はもとより、民間団体、個人の皆様からの支援物資、ボランティア活動、義援金、寄附金など、多大なるご支援・ご声援をいただきまして、深く感謝申し上げます。


この一年で、被災された企業が徐々に再開し、街を歩けば、一見、震災前と変わらない賑わいを取り戻しているかのように感じられます。しかし、一方で、いまだ事業の再開の目途が立っていない企業がいることを忘れてはなりません。蒲島県政の震災対応の基本は、被災者に寄り添った支援を行い、震災からの創造的復興を成し遂げること、そして、この復興を熊本の発展につなげることです。商工労働局では、グループ補助金、中小企業向け融資制度、雇用対策等、まさに熊本経済復興の肝になる事業を掌っています。本稿では、当局の取組について、いくつかご紹介致します。


まず、グループ補助金です。4月にグループ補助金に専属的に対応する企業復興支援室を設け、他都県からの応援を含む職員18名と委託事業者の総勢60名を超える体制で、補助金申請の事務処理の迅速化を図っています。


グループ補助金は、地域経済・雇用の早期回復を図ることを目的に特例的に措置されたもので、熊本地震は東日本大震災に次ぐ適用事例です。被災した多くの企業・事業者にとって、グループ補助金は復旧・復興のために、まさにタイムリーな施策となっています。


改めて思い返せば、企業の施設・設備など私有財産については、たとえ天災が原因であっても、自費による復旧が原則です。グループ認定を受けた企業の皆様は、この補助金が特例措置であることを再度ご認識いただき、復興事業計画を着実に実行され、産業活力の復活、雇用の維持、コミュニティーの再生等に取り組んでいただきますようお願いします。これらの取組が、熊本の創造的復興に繋がるものと思っております。


次に、中小企業向け融資制度です。昨年度は、震災直後の予算補正で、史上初めて被災企業向けに信用保証料を全額補助するなど、金融面で積極的な支援を行いました。その結果、平成28年度は過去最高の約1,123億円の利用がありました。平成27年度の実績が約167億円ですので、いかに、大きな資金需要だったか県制度の実績からも見てとれます。企業にとって血液とも言える事業資金が、必要な額、必要な所に行き届いた結果、震災関連倒産は11件(5月時点)となっています。本年度は1,000億円の新規融資枠を確保していますので、積極的なご活用をお願いします。


最後に雇用対策です。熊本県内の高校・大学の新規学卒就業者の約半数が県外に就職しており、業種によっては深刻な人材不足となっています。グループ補助金を利用する企業にも、施工業者の人材不足で工事着工が遅れるところがあるなど、人材不足の影響は、復興の進捗にも直結しています。


当局では、従業員や求職者から見た魅力ある企業の増加に伴う若者の県内就職の促進を目指し、今年度も、ブライト企業(働く人がいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業)を募集しています。認定されれば、県が認定企業の取組を積極的にPRしたり、認定企業限定の合同PRイベント等に参加できたりするなどのメリットがあります。7月14日まで募集をしておりますので、皆様のご応募お待ちしております。


「復興元年」と位置付けられる本年度、ステージは復旧から創造的復興に本格的に移っていきます。熊本の経済的復興を成し遂げるには、中小企業の皆様が元気になることが必要不可欠です。行政民間一体となって熊本の経済的復興に向け取り組んで参りたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。



2017年7月号掲載

熊本県商工観光労働部 商工労働局長 寺野 愼吾

熊本県商工観光労働部
商工労働局長
寺野 愼吾

昭和36年4月20日生まれ。宇土市出身。熊本大学法学部卒業。昭和59年4月熊本県庁入庁。平成23年東京事務所次長、平成25年4月企業立地課長、平成28年4月新産業振興局長、平成29年4月商工労働局長

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