各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
働くことの尊さ
「ただ目の前に並べられた 仕事を手際よくこなしてく コーヒーを相棒にして いいさ 誰が褒めるでもないけど 小さなプライドをこの胸に 勲章みたいにつけて」
これはミスターチルドレンの「彩り」という曲の一節です。私はこの曲がとても好きで職場から帰宅する車の中でよく聞いています。
私は初任から特別支援学校に勤務し、今年度で37年となり、役職定年を迎える年となりました。これまでにたくさんの児童生徒と関わってきました。小学生を担任したこともありますし、中学生、高校生も担任しました。聾学校の経験も5年はありますが、それ以外は知的障がいの特別支援学校ばかりです。かかわった児童生徒から教えられたことがたくさんあります。その一つが働くことの意味です。多くの特別支援学校高等部では卒業後の進路決定のため、2,3週間程度の現場実習を3年間の高等部生活の中で複数回行います。障がいの程度は様々ですから一般企業で行う生徒もいれば福祉作業所等で行う人もいます。接客を行う人もいれば、比較的簡易な作業を一日中行う人もいます。その生徒の障がいの程度や進路希望によって様々な場所で、様々な内容の仕事に取り組みます。
卒業をするとそれぞれが選んだ進路へと進んでいきます。これも多種多様です。私がかかわった生徒の中には大学へと進学し、教職に就いている方もいます。企業で働き、家庭を持っている方もいます。福祉作業所で休むことなく毎日こつこつと働いている人もいます。
そのようなかかわった児童生徒から学んだ働くことの意味とは、働くことはただ単に収入を得るためのものではなく、それ以上に尊いものであるということです。私たちはついつい仕事を決めるときに「給料はいくらだろう」「きつい仕事じゃないだろうか」などということを真っ先に考えてしまうのではないでしょうか。私がかかわってきた生徒たちの仕事に臨む姿は「そのようなことは二の次だよ。」と訴えているように感じます。「働くことは、自分の力を精一杯発揮し、世の中の誰かの役に立つことだよ。」と私に教えてくれているようです。(だから彼らの給料は安くても良い、ということでは決してありません。)彼らのそのような姿はきっとその職場を活気あるものにしてくれていると思います。潤いのあるものにしてくれていると思います。
先ほどのミスターチルドレンの「彩り」の歌詞の続きです。「僕のした単純作業が この世界を回り回って まだ出会ったこともない人の 笑い声を作っていく そんな些細な生きがいが 日常に彩りを加える モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑」
彼らの毎日が、そして私たちの毎日がもっと彩り豊かなものになることを願っています。
2025年2月号掲載
熊本県特別支援学校
知的障害教育校長会
会長鶴田 雄二
昭和63年3月熊本大学教育学部養護学校教員養成課程卒業。卒業後、熊本養護学校、熊本大学教育学部附属養護学校、ひのくに高等支援学校、熊本聾学校で教諭、大津支援学校で主幹教諭、熊本大学教育学部附属特別支援学校で教頭、菊池支援学校で校長として勤務。令和4年から松橋西支援学校校長。
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