各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
熊本の地にいて思うこと
~未来創造~
平成〇年×月△日
「某中小企業の総務課長と話をする機会があった。『うちの社長の仕事にかける熱意は相当なもの。会社が大きく成長することを夢見て、従業員を叱咤激励し、汗して頑張り続ける社長の姿は、まさに企業家精神そのもの』。当の総務課長は全くの畑違いの銀行マンからの転身という。それだけに実感として感じるのかもしれない。そうこう話をしているうちに、社長が現れた。『やぁー財務さん。どうもご苦労さま』。およそ70歳近くと思われるカクシャクとした方であった。将来への閉塞感が広がる昨今、日本経済も
まんざら捨てたものでもないという思いがした一日だった」。これは、私が若かりし頃、中小企業の経営者と初めて出会ったときの出来事です。
地方での人口減少や高齢化が進む中で、これからの将来を考えると、地域なり地域に根差す中小企業が再び輝きを取り戻せるかどうかによって、地域や日本の将来が大きく変わってくる。そういう危機感ないしは、将来に向けて今やらなくてはいけないという気持ちは、多くの人たちに共有されているのだろうと思います。この共有された気持ちを滞りなく前に進めていけるよう促していくのが、金融の世界においては、九州財務局の一番の大きな仕事ではないかと考えています。
熊本に赴任する3年前には、国立印刷局に勤務し、モノづくりを担う事業体の運営に携わりました。印刷局は、お札であれば日本銀行、パスポートであれば外務省に「製品」を納めて、いただいた売上げの中から、設備投資などを行う独立採算の事業体。コロナ禍をはじめ、デジタル化、脱炭素など事業環境が大きく変化する中、目指す未来を描き、新たな時代にふさわしい事業体制への変革に挑戦していく2年間でした。印刷局で学んだことは、「未来創造」の重要性。先行きが見通しにくい時代、未来を予測することは困難ですが、自分達の未来を創ることはできる。キャッシュレス化が進む中、明るい未来像、ありたい姿を提示して、それに向かって進んでいくことは組織として大事なことで、現場の工場で働く職員の働きがいにも関わるものです。中小企業の経営者の皆様の足元にも及びませんが、「経営」というものの一端を垣間見たような気がします。
今、熊本の地にいて思うのは、「未来創造」という言葉が、すべての地域の皆さんの背中を押してくれるのではないかということ。九州財務局としても、微力ではありますが、地域の皆さんと力を合わせて、明るい未来社会を創っていきたいと思います。
2024年12月号掲載
九州財務局長倉林 健二
1965年生まれ、神奈川県出身。
1989年4月関東財務局入局。2021年4月独立行政法人国立印刷局理事、2023年4月東海財務局理財部長、同年7月東海財務局総務部長を経て、2024年7月から現職。
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