熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

「生きる力」はぐくむ新聞活用

「〈NIE=エヌ・アイ・イー〉Newspaper in Education(教育に新聞を)の略。学校などで新聞を教材として活用する運動のことです。1930年代にアメリカで始まり、日本では新聞界と教育界が協力し、89年から組織的な取り組みがスタート。新聞を授業に取り入れることで児童・生徒の学習意欲が高まり、思考力、判断力、表現力などが身につくと注目されています。また、生涯学習の一環として家庭や地域へも浸透しています」。これは、私の名刺の裏に書いているNIEの紹介です。


NIEを実践している先生は、新聞活用で子どもたちの力が大きく伸びることを「実感する」と話します。全国学力テストでも、新聞をよく読んでいる子どもの得点は読まない子より高いというデータがあります。


このNIE。教育界ではいま注目度があがっています。昨年から小学校、今年から中学校の教科書に、新聞を活用した学習が盛り込まれたからです。国語、社会をはじめ、理科、せいかつ、算数、家庭、保健、地理、歴史、公民、数学、理科、美術、技術などほとんどの教科に「新聞」が取り入れられています。


たとえば小学校「国語」では…。「新聞を作ろう」(4年上、光村図書)、「新聞のへんしゅうのしかたや記事の書き方に目を向けよう」(5年、同)、「新聞記事を読み比べよう」(5年上、東京書籍)、「書き手のくふうを考えながら新聞の投書を読もう」(6年上、同)といった具合です。


こうした新聞活用は、学校の先生方が授業を進める際の基本指針である文科省の学習指導要領に明示されています。教育目標を達成するために新聞活用が有効だと文科省が認めて取り入れたわけです。


指導要領のポイントは、①基礎的・基本的な知識、技能の習得②知識、技能を活用して問題解決に必要な思考力、判断力、表現力の育成③主体的に学習に取り組む意欲と学習習慣の確立④言語活動の充実、の4点です。


文科省は21世紀を新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域で飛躍的に重要性を増す「知識基盤社会」の時代と規定し、子どもたちの「生きる力」をはぐくむことを目標にしています。①~④はそのための具体的な教育内容です。


さて、この4点。そのまま社会人としての心得、目標でもあると思いませんか。①~④の頭に「社会人として必要な」という言葉をつけてみてください。文科省のいう「生きる力」は、子どもたちが将来、「一人の自立した社会人として生きていける力」なのです。


新聞は、「報道」と「言論」という2つの社会的役割を担っています。世の中でこんなことが起きました。事実はこうです。それに対して新聞社はこう思います。その上で、「読者の皆さんはどう思いますか、あなたはどうしますか」と問いかけています。新聞は考える材料を提供しているのです。


事実の詳報のほか、経緯や背景の解説、賛否両論、関連記事などを掲載します。記事の視点、社説などの主張は新聞によって違います。読者は1紙を読み、さらに複数紙を読むことで、知識と情報に加えて、さまざまな視点、考え方を得ることができます。


子どもたちは学校での新聞活用を通じて「社会の今」を学び、「生きる力」をはぐくんでいます。将来が楽しみです。


では、現役の社会人はどうでしょう。メディアの多様化のなかで新聞を読む人は減り続けています。世の中にあふれる情報をどう読み解くか。他メディアに接しながらも、新聞を読み続けることで「生きる力」をさらに伸ばしてほしいのです。


2012年5月号掲載

熊本県NIE推進協議会 事務局長 (熊本日日新聞社NIE・新聞活用センター長) 本田 禎治

熊本県NIE推進協議会 事務局長
(熊本日日新聞社NIE・新聞活用センター長)
本田 禎治

昭和27年玉名郡和水町生まれ。
昭和50年鹿児島大学法文学部法学科卒業、熊本日日新聞社入社。
編集局地方部、政経部、大津支局長、水俣支局長、社会部県警キャップなどを経て、 平成2年秘書室社長秘書、9年事業局事業部長、局次長、17年販売局次長、22年編集局NIE推進室次長、 県NIE推進協議会事務局次長、23年から現職

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