各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「元気熊本」が東日本大震災で被災された方々の力に
4月26日に開催された熊本県中小企業家同友会、第30回定時総会で2011年度の活動指針テーマに「元気熊本」が採択されました。東日本大震災の影響の真只中にある方々の力になろうとする会員の皆様の思いも表現した、シンボリックな素晴らしいテーマです。また、定時総会では課題別実践報告を拝聴させていただきました。そこで、「同友会理念」が様々な業種と幅広い年齢層を一つにし、会員の中に学び合い励まし合う絆を大切にした魅力的な活動を生み、新たな仲間を引き寄せているのだと思いました。
震災で日本公庫へ寄せられたご相談は4月21日現在で3万5千件に及びます。その6割強が被害の甚大な地域(青森、岩手、宮城、福島、茨城)からのものです。4月中旬に実施した中小企業を対象とした景況調査では4月の売上げ見通しDIは3月の13.4%から▲20.4%へと大幅なマイナスに転じ、低下幅はデータが比較可能な1974年7月調査以来、過去最大となっています。熊本でも観光産業や飲食業の方をはじめ、大半の方が震災の影響に不安を持っておられることを、肌で感じております。
先日、南阿蘇村の高齢者の方々で運営されている「しゃえんば食堂」(菜園場を「しゃえんば」と発音)に立ち寄りました。そこで、熊本で500人を超える死者・行方不明者を出した昭和28年の白川大水害では岩手県の人が助けに来てくれた、今度は自分達の番だと話す地元の人の声を耳にしました。陸前高田で創業200年を誇る醤油味噌醸造会社が、工場・店舗の全てを流されても社員と復興を誓う姿を見て、出来たときで良いからと注文を出すホテル業者。ガスコンロを避難所に届ける家電卸業者。被災地から遠く離れた熊本で、沢山の人が日常の中で出来ることを始めています。
このような活動は、貴会の会員の方に教えていただいた「ひまぐらしですたい」に通じる気がします。病人の介護で大変でも、身を削る人助けをしていても、それを人に告げず「ひまぐらしです」と照れながら答え、聞く方はそれ以上聞かない。そして聞いた方は、そっと頂き物と言ってお裾分けをして相手を労わる。
震災後の人々が助け合う姿は、熊本在住の歴史家である渡辺京二先生の著書「逝きし世の面影」で生き生きと描写された、江戸時代に存在した「素朴で美しい日本」と重なります。
2008年10月に国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫が統合し、別々だった事務所も2010年5月に現在の熊本市安政町に移転を終え、ワンストップサービスの充実を進めています。例えば、日本公庫の農林水産事業の美味しいトマトを栽培する農家のお客様を中小企業事業でお取引のある食品スーパーにご紹介する、国民生活事業のお客様が農業に進出される際には農林水産事業が助言する等、三事業のシナジー効果を発揮するように努めています。
この4月には太陽光などクリーン産業のけん引役を目指す県内企業を対象とした「クリーン・リーディング企業創出融資」を始めました。県と共に産業振興を進め、雇用促進につなげ熊本を元気にしたいとの思いがあります。
熊本県中小企業家同友会の皆様が「元気熊本」の旗印の下、「同友会理念」を守り魅力ある活動を続けることにより東日本大震災で被災した方々を支え、ますます活動の輪を広げ来る30周年を迎えられることを祈念しております。
2011年6月号掲載
日本政策金融公庫
熊本支店長兼中小企業事業統轄
田上 秀治
昭和34年熊本県生まれ。
明治大学卒業後、旧中小企業金融公庫入庫。平成20年8月融資業務部次長を経て熊本支店長、 同10月日本公庫熊本支店中小企業事業統轄、平成22年4月熊本支店長兼中小企業事業統轄
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