各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
「もっこすプラン」で前進する熊本県立大学
いつも様々な催しへご案内いただきありがとうございます。地域経済を牽引されている会員諸兄姉の発言はいつも新鮮です。
グローバル化が進めばすすむほど、改めて呼び起こされるのがアイデンティティ再確認の欲求です。この欲求を満たしてくれる熊本のプラットホームが同友会です。丁度、特定地域学に挑戦できる国際水準の大学が高校生の大学選びの的になっているように・・・・。これからは地域の個性を反映した国際級の経済活動が主流でしょう。そのような時代認識から同友会の諸活動には共感することがたくさんあります。
熊本県立大学は、4年前の平成18年4月に法人化しましたが、これまでの60年の歴史の中で最も長いのが熊本女子大学時代ですので、男女共同参画社会基本法制定10年目に当たる今年は、本学の未来を展望するのに意味がある年だと言えます。法人化と共に新しい伝統の構築に入ったところですが、これには男女共同参画社会が重なり合い、その方向の改革が急がれます。
さまざまな場面で改革が叫ばれて相当の時間が経ちましたが、果たして成果はどうでしょうか。私は改革が進んだかどうかの評価は「たくさんの改善の構造化」で示されると認識しています。公立大学は地元が欲する人物を養成する目的で本学の場合は熊本県が「生みの親」となったものです。現在は「育ての役」を公立大学法人がしています。
企業の経営においても創業者に続く代々が役割を果してきているように、持続する組織では生むと育ての意識峻別がことのほか重要です。熊本は、日本を代表する地域ブランドを幾つも生み育てています。熊本県立大学は、その風土に呼応して、地域にふさわしくこの郷になくてはならない大学として進化を続けます。
改革は「構造化された改善群」と表現しましたが、本学では法人化を機に『自立と自律の大学ビジョン』を掲げました。創立65周年に当たる平成24年3月を目標とした6年間の中期計画がそれです。大きく6つの柱を立てていますが、1つ目が「大学の質の向上」で大学の三大使命である教育・研究・社会貢献に加え、国際交流、学生生活支援という観点から大学の質を問う内容です。最新の研究に基づく最高の教育と有為な地域貢献を果たさなければなりません。
そして、第2が「大学運営の改善及び効率化」に関することです。従来の公的運営で指摘されてきた限界を克服し、運営体制を大きく改めました。教育組織の見直し、人事の適正化、大学アドミニストレーションの達成に向かいます。
そして、3つ目が「財務内容の改善」で、企業会計の下、自己収入の拡充、経費の抑制、将来的には資産の運用管理が課題となります。また公立大学は、運営費交付金という公的支援を前提に経営される大学ですので、その趣旨をふまえた舵取りが肝心です。公立大学としての存在理由を多面的、かつ積極的に主張していきます。
このほか、第4、第5の項目に自己点検・評価と情報提供がありますが、自己点検評価は自律の大学運営の根本となる取り組みで、情報提供はステークホルダーとの目線合わせに不可欠です。最後の6つ目には、美しく快適なキャンパスの整備、安全と安心の管理運営、そして人権に関する事項が盛込まれています。詳細については大学ホームページでご覧いただけると幸いですが、この年次計画版を私たちは「もっこすプラン」と呼び、どうしても達成しなければならない「一途な取り組み」としてとらえ、実効性を強く求めています。
「地域に生き、世界に伸びる」の下で躍進するのが熊本県立大学です。あらゆる場面でのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。
2009年8月号掲載
公立大学法人熊本県立大学 理事長
蓑茂 寿太郎
昭和25年2月23日生まれ、東京農業大学農学部卒業、平成7年4月東京農業大学農学部造園学科教授、16年4月副学長、18年4月公立大学法人熊本県立大学理事長・教授(現任)農学博士
専門分野 : 造園学、都市農村計画、環境計画
日本学術会議連携会員、(社)日本造園学会前会長
最新の特集記事
持続的な自主自立の
まちづくりに向けて
熊本市西区長 石坂 強
本年4月より、熊本市西区長に就任いたしました石坂と申します。 貴会をはじめ会員の皆様方には、日頃から西区のまちづくりへ...
社会変化に伴う
行政書士の目線
熊本県行政書士会会長 櫻田 直己
この度「会員中小企業家に向けての提言」というテーマで執筆させていただくにあたり、私達行政書士について説明いたします。 ...
助成金を活用した
賃上げのすすめ
厚生労働省 熊本労働局 局長 金成 真一
人手不足が進む中、「賃上げ」や「省人化投資」を考えている企業の方は多いと思います。 人口を年齢階級別に見れば、若年者は高...