各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
故郷再興へのあたらしい風
地方を取り巻く環境は、経済の低迷、人口の減少、少子高齢化に歯止めがかからず依然として厳しい状況にあります。地方分権の流れの中、地方自治体には地域の特性を活かした創意工夫と、自らの地域を自らの手で持続可能に経営していくことが強く求められています。こうした中で、私は菊池に新しい風を起こし、市民の力を結集して菊池を再興するという強い決意を持って市長に就任しました。
本市は、すばらしい素材がたくさんある宝の山です。企業的な経営方法や新しい考え方と発想を盛り込んで、菊池の自然の恵みを守りながら自然を活かして穏やかな発展を続けていく「安心・安全な癒しの里」を目指して参ります。この新しい菊池の未来像を実現するためには、クリアしていかなければならない課題が大きく三つあると考えます。
一つ目は、経済の低迷化です。地方都市の多くは中心市街地の衰退が進んでおり、本市も例外ではありません。観光業、商業の不振が続き、若者の就職難、人口減少・高齢化等に伴い経済低迷の悪循環が続いています。地元経済に元気を取り戻し、活性化させることが急務と考えます。二つ目に財政基盤の構造変化があげられます。本市も来年度で新市合併10年を迎えます。平成27年度より普通交付税の算定が見直され、大幅な減収が見込まれます。これまで以上に行財政の効率化に努める必要があります。三つ目は新市の一体感の醸成という問題です。合併して九年目を迎えますが、旧4市町村間の不公平感が残っており、相互信頼感が醸成できていません。
以上のような課題の解決策として、経済の活性化・行財政の効率化ならびに公平公正に関する三つの仕組みを作って行きたいと考えていますが、今回はその一つ経済活性化の仕組みづくりについて述べさせていただきます。
本市の再興には経済の建て直しが一番の課題です。現代の世界的な大きな流れは、「健康志向」「自然回帰」です。この観点から見れば、本市の自然は手付かずの宝の山といえます。この特性を生かし、農業と観光を経済活性化の両輪と位置づけ、そこに企業的な経営手法や外部との連携を活用し振興を図ります。農業では、安全・安心の品質イメージとインターネット販売戦略を組み合わせ、高品質・高付加価値化を図り、「儲かる農業」を目指します。また観光では、本市が持つ自然や歴史・文化資源等の豊富な素材を活用し「癒しの里」のイメージを構築していきます。具体的には、「森の中のまちづくり」「日本一の桜の里づくり」「日本一のホタルの里づくり」を進めてまいります。リピーターを増やし、交流人口を増加させることによって農業との相乗効果にも繋がり、また商工業へも波及していくものと考えます。このような自然を活かした戦略には環境保全への取り組みが不可欠です。小水力発電等の自然エネルギーを活用した循環型社会のモデル都市を目指します。さらには、菊池テクノパークの完成に合わせ、積極的な企業誘致による雇用の創出にも一層努めてまいります。
本会におかれましては、企業経営者の皆様と連携を図りながら強い企業づくりに取り組まれておられるところではありますが、本市におきましても地域に貢献する企業家の育成、さらには本市工業団地への進出により菊池市の再興にご協力いただきますことを願ってやみません。今後とも会員の皆様にはあらゆる方面からのご指導、ご助言をお願いしますとともに、これまで以上にご協力をお願いいたします。結びに熊本県中小企業家同友会のさらなる発展を祈念申し上げます。
2013年8月号掲載
菊池市 市長
江頭 実
昭和29年4月1日生まれ。
昭和47年菊池高校卒業。
昭和51年九州大学経済学部卒業。銀行や民間企業に勤務する中16年間の海外勤務を経験。
平成24年帰郷。
平成25年4月菊池市合併第3代市長就任
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