各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
熊本都市圏の将来ビジョン を策定しました
熊本商工会議所と熊本経済同友会は、2月に「熊本都市圏将来ビジョン」を策定し、発表しました。商工会議所と経済同友会が一体となって、ビジョンを策 定したのは、おそらく全国で熊本が初めてだと思います。経済界が作るビジョンは首長の任期に関係なく中長期的な視点で考え、同時に、行政区域も飛び越 えて論議できる点が大きな特徴です。
このビジョンは新年度から経済同友会と商工会議所が双方の事業計画に乗せて、検討、実施していくことにしています。また、蒲島県知事と幸山熊本市長にも報告しましたが、今後は「くまもと都市戦略会議」(知事、熊本市長、熊本大学学長、経済同友会代表幹事、熊本商工会議所会頭の5人で構成)のテーブルに乗せ、行政と経済界が一緒になって実現していくことを確認しました。
熊本都市圏を中長期的視点でみると、人口の減少と高齢化の進展です。熊本県の人口は2060年には、2010年対比で59万人少ない122万人になると推計されています。一方、高齢化率も2060年には37%にまで上昇すると見込まれています。人口の減少と高齢化の進展は、労働力人口を減少させ、経済規模を縮小させる恐れがあります。そして、人々の暮らしやコミュニティーの姿を変化させることから、行政だけでなく、経済界にとってもとても重要な問題です。
その一方で、熊本は好条件に恵まれています。1つは地勢的な条件で、アジアにきわめて近い事、もう1つは水や広大な平野・森林を持っています。また、九州のど真ん中にあり、熊本都市圏は県内だけでなく、九州の結節点(ハブ)の機能を果たすことで、アジア経済拡大の恩恵を享受するとともに、アジアの発展に貢献することもできると思います。
そうした中で、熊本都市圏の目指すべき方向性として①経済成長力を最大限高めていくこと②人々の生活の質と都市圏の魅力を向上させること③九州やアジアにおける存在感と住民の郷土への誇りを高めていくこと―の3点を掲げました。そしてこの方向性に基づき、具体的な取り組みとしては、「企業活動の分野」では①ビジネスを強化し交流人口の増大やアジア等の需要の取り組みを図る②観光では阿蘇や熊本城など自然や歴史・文化等の資源を従来以上に活用できるようにビジネスモデルを転換・強化する③食関連ビジネスを成長させ、中長期的な農業の活性化・振興にもつなげていく―など。「社会インフラの分野」では①交流人口の増加と九州の一体的な発展のため、九州の東西軸となる自動車専用道路の整備を、「人材の分野」では子育て世代を積極的に支援するとともにグローバル化への対応を強化する―などを挙げています。
そして、向こう10年間のアクションプランとして、「ビジネスを強化し、交流人口を年間1000万人に増大させる(現在663万人)」、「九州東西軸の整備を早期に実現する」「日本一水が豊かで人にやさしいまちを創る」、「女性の労働力率を全国5位以内に引き上げる(現在15位)」「外国人インターンシップを1000人受け入れる」、「特区を活用して取り組みを推進する」の5つを具体的な数値目標として掲げました。
将来ビジョンに関心を持っていただき、素晴らしい熊本づくりに、ご理解とご協力をお願いいただければ、幸いです。
2014年5月号掲載
熊本商工会議所 会頭
田川 憲生
昭和22年4月2日生、46年3月熊本大学法文学部卒、同年4月(株)熊本日日新聞社入社、平成15年6月取締役編集担当、編集局長、17年6月常務取締役編集、メディア、NIE担当、22年6月専務取締役販売、事業、印刷担当、23年6月ホテル日航熊本代表取締役社長【熊本商工会議所関係】平成23年11月4日第21代熊本商工会議所会頭、同年11月30日第21代熊本県商工会議所連合会会長
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