各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
『熊本地震からの復旧・復興に向けて』
平成28年熊本地震により尊い命を失われた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された企業の皆様に対してお見舞い申し上げます。
二度にわたる震度7を記録した大地震から6ヵ月余り、未だに大きな余震が続く中、熊本県中小企業家同友会の皆様におかれては、事業活動を通じて熊本の復旧・復興に日夜奮闘されていることと思います。
この度の熊本地震は、住宅や水道・ガスなどのライフラインを破壊したのみならず、住民生活や経済活動の基盤となる道路などの交通インフラに甚大な被害をもたらしました。観光面や物資の輸送等をはじめ、皆様方の事業活動に多大な影響を及ぼしており、大変ご迷惑をお掛けしております。
熊本県は、平成24年の熊本広域大水害など幾度も被災してきましたが、今回の地震はこれまでとは比較にならない規模の災害でした。また、6月の豪雨被害が重なったことで、道路や橋梁、河川等の県・市町村管理の公共土木施設被害箇所は6,100箇所、被害額は2,200億円にのぼり、過去最大規模となっています。
特に、阿蘇大橋地区の大規模な斜面崩落によって国道57号が遮断された影響は大きく、九州の横軸の脆弱性を露呈させました。救助活動や救援物資輸送等の命の道となる「中九州横断道路」及び「九州中央自動車道」等の幹線道路ネットワークの強化の必要性を改めて強く認識したところです。
また、県では、地震発生の直後から国や関係団体と連携し、道路、河川、建築施設等応急対策工事を実施したうえで、現在は本格的な復旧工事を進めています。
一方、仮設住宅建設については、住宅配置などを工夫するとともに集いの場となる「みんなの家」を整備することで、被災者の孤立を防ぎ、コミュニケーションが生まれやすい環境づくりを行いました。
このように、県では、発災直後から「被災された方の痛みの最小化」、「単に元に戻す復旧ではなく創造的な復興」、「復旧・復興を更なる熊本の発展につなげる」という三原則のもと、復旧・復興に取り組んでいます。
ところで、道路等のインフラ整備は「ストック効果」というものが非常に重要です。インフラが社会資本として蓄積され、継続的に中長期にわたり得られる効果のことですが、具体的には耐震性の向上や水害リスクの低減といった「安全・安心効果」や、生活環境の改善・アメニティの向上といった「生活の質の向上効果」のほか、農林水産物輸送や救急搬送時間など移動時間の短縮等の「生産性向上効果」といった“社会のベース”の生産性を高める効果があります。
そのような効果が如実に現れている事例として、国道57号ではバイパス整備が進むとともに菊池地域に半導体関連企業が進出し、この地域の製品出荷額は県内の4割を占めるようになりました。また、企業の進出に伴い、近隣市町村においては熊本市のベッドタウンではなく、地域自体の力で人口が増加している全国でも稀有な地域となっています。
今後、中九州横断道路が整備されることで、さらなる効果が期待されます。
県では安心・安全のための復旧とともに、更なる地域の活性化に繋がるよう、「平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン」を策定し、具体的な取組みを進めています。
引き続き、この「復旧・復興プラン」を道標に全力で取り組んでまいりますので、皆様方の御協力と御支援をよろしくお願いします。
2016年10月号掲載
熊本県土木部長
手島 健司
昭和32年10月10日生まれ、熊本県出身。九州大学工学部卒業。昭和55年4月熊本県庁入庁、平成22年4月新幹線・熊本駅周辺整備事務所長、平成23年4月土木部河川港湾局港湾課長、平成24年4月土木部道路都市局道路整備課長、平成26年4月土木部道路都市局長、平成28年4月土木部長
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