各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ
活力と魅力あるまちづくり(水の郷)
3月11日、午後2時46分、宮城県沖で発生したマグニチュード9.0の大地震による大津波で多くの尊い人命が奪われ、広域にわたって甚大な被害をもたらしました。改めて自然の脅威を感じるとともに、営々として築いてこられた暮らしが一瞬にして灰燼と帰した方々の無念さを思えば胸が痛くなります。
更には追い打ちをかけるように、原子力発電所の事故による立ち入り規制がいつ終息するかわからない状況下において、住み慣れた故郷を離れなければならない現状を聞くたびに、今こそ全国民が一丸となって復興支援を行わなければならないと痛感しているところであります。
今回の災害との比ではありませんが、わが町も長年にわたり水害常襲地帯として、地域ぐるみで対策を講じ、それを克服した今日、自然と正面から向き合うためにはどのようにすればよいかを改めて考えさせられました。
さて、本町は昭和63年にまちづくり構想「水辺の郷をめざして」を定め、湧水や河川等の水環境を活かした町づくりを進めてまいりました。その後も基本的な考えを継承し、真の豊かさを実感できる安定した地域社会の実現が今後の目指すべき重要事項と考えて、「水」を守り・活かし・楽しむ中で、それぞれの豊かさを高めていくことを目標にして、土地区画整理事業をはじめとする社会資本の整備、ビール・飲料工場や大型商業施設、卸売団地等の企業誘致、幼児からお年寄りまでに対する福祉対策など、定住促進事業の各種施策を推進してきた結果、一時は7千人台まで減少した人口も9千人近くまで増加し、活気と賑わいのある町づくりが着々と進んでおります。
そのような中において、今日の地域を取り巻く社会経済環境は、少子高齢化の進展とともに本格的な人口減少社会を迎えており、世界的な社会経済の変化の速さや動きの幅が大きくなっている一方で、日常生活においては「個」を中心とした様々な新しい生活様式や「豊かさ」を土台とした暮らしのスタイルに変わるとともに、人のものの考え方も多様化してまいりました。
これからのまちづくりにおいては「豊かさ」の具体的な中身を明確にし、それに向かって進む揺るぎない指針といったものが求められています。このようなことから『活力とうるおいに満ちた田園文化都市』を目指して、「活力と魅力あふれるまちづくり」「安全で安心して暮らせるまちづくり」「人が主役のまちづくり」を将来像として、豊かさを通して自然に囲まれ、住んで良かったといえるような地域づくりに努めていかなければならないと考えております。
そのためには継続した企業誘致活動を推進するとともに、地元企業については、農業・商業等との連携を踏まえた地元特産物の加工や自然環境との共存を目指した就業の場の確保など推進していくことが必要不可欠なこととなっていきます。
我が国は今、経済、社会等あらゆる分野において未曽有の構造転換期にあり、中小企業を取り巻く環境も、消費者ニーズの高度化・多様化、グローバル化、高度情報化の進展、各種の規制緩和などによって急激に変化しており、こうした大きな環境の変化を踏まえ、中小企業こそ我が国の力強さの源と位置づけるとともに、その創造性、柔軟性、機動性を発揮して経営革新や経営基盤の強化を図っていかれることを期待して、貴同友会の精神であります「自主・民主・連帯」のもと、益々発展されますことを祈念いたします。
2011年6月号掲載
嘉島町 町長
荒木 泰臣
昭和21年10月10日生まれ
昭和44年3月東海大学文学部卒業民間企業を経て昭和58年3月嘉島町議会議員(1期)、昭和62年2月11日嘉島町長に就任、現在に至る
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