一般社団法人 熊本県中小企業家同友会

特集

各界からの提言

各界から熊本同友会会員へ向けた熱きメッセージ

安全安心な県民生活のために

今回、貴重な機会を賜り、誠に有難うございます。県の環境生活部では、水俣病に関する業務から、水や大気、廃棄物などの環境関係業務、食の安全や消費者問題などに関する業務まで、県民の皆様方の生活に密着した取組みを進めており、その一端を御紹介させて頂きます。


まず、昨年4月に発生し、県民生活に大打撃を与えた熊本地震からの復旧・復興についてですが、発災直後から水道の復旧、災害廃棄物の処理、消費生活相談機能の強化など、県民生活の早期回復に取り組んで参りました。

水道については、最大で約43万戸が断水しましたが、早期復旧のため日本水道協会等と連携し、給水車の手配や技術者の派遣を行いました。現在は南阿蘇村の一部地域を除き、断水は解消されています。

次に、災害廃棄物については、家屋の倒壊等により、県全体で約290万トンが発生する見込みです。県としては、被災者の皆様が一刻も早く生活再建を進められるよう、発災後2年以内の処理終了を目指し、国や市町村、関係団体と連携し、迅速に取り組んでいます。特に、震度7が観測された益城町を始め7市町村から委託を受け、阿蘇くまもと空港南側の県有地に仮置場を設置し、木くずなどを受け入れ、可能な限りリサイクルに努めながら処理を進めています。

また、震災直後から家屋の修繕や賃貸借契約などに関する県消費生活センターへの相談が急増しました。このため、 消費者トラブルに関する注意喚起を行うとともに、県弁護士会や県司法書士会と連携しながら、無料法律相談や休日夜間の相談に対応しました。現在も、毎週金曜日の無料法律相談や、毎月第2日曜日の電話相談を実施していますので、御遠慮なく御相談頂きたいと思います。

こうした震災対応の中、2020年までに外国人観光客の倍増を目的とした「国立公園満喫プロジェクト」に、阿蘇くじゅう国立公園が選定されました。昨年の地震や噴火により阿蘇も大きな被害を受けましたが、このチャンスを最大限に生かし阿蘇地域の創造的復興につなげるため、まず、米塚と草千里を望む新たな展望所を今年度中に設置します。また、国や地元と連携しながら草原や景観を活用した新たなトレッキングコースの整備等に取り組み、観光客を早期に呼び戻し、これまで以上に阿蘇の魅力を高めていきたいと考えています。


これらに加え、熊本の宝である地下水保全や、ゴーヤによるグリーンカーテンの設置、廃食油を活用したバイオディーゼル燃料の普及、エコドライブの推進など、県民一人ひとりが無理なくできる環境配慮の取組みにより、熊本の気候風土を踏まえた「くまもとらしいエコライフ」を進めて参ります。

また、震災からの復興や、熊本がもっと元気になるためには、女性の活躍が欠かせません。このため、企業・団体等が女性の管理職比率を高めたり、育児休業取得の推進などにより、働きやすい職場づくり等を進め、女性の社会参画加速化を推進しています。

併せて、同和問題をはじめ、様々な人権問題の啓発にも取り組んでいます。人権を尊重した公正な採用や差別のない明るい職場づくりのため、例年、企業等の事業主や担当者の方々へ研修も実施しています。

今後も環境や生活の視点から、県民生活を守り、快適で安全・安心な暮らしの実現に向けて、様々な施策を推進して参ります。引き続き同友会の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。



2017年9月号掲載

熊本県環境生活部長 田中 義人

熊本県環境生活部長
田中 義人

昭和35年1月15日生まれ。熊本市出身。上智大学法学部卒業。昭和57年4月熊本県庁入庁。平成22年4月水俣病保健課長、平成28年4月県民生活局長、平成29年4月より現職

最新の特集記事

熊本市西区長 石坂 強
各界からの提言
2024年10・11月号掲載

持続的な自主自立の
まちづくりに向けて

熊本市西区長 石坂 強

本年4月より、熊本市西区長に就任いたしました石坂と申します。  貴会をはじめ会員の皆様方には、日頃から西区のまちづくりへ...

熊本県行政書士会会長 櫻田 直己
各界からの提言
2024年10・11月号掲載

社会変化に伴う
行政書士の目線

熊本県行政書士会会長 櫻田 直己

この度「会員中小企業家に向けての提言」というテーマで執筆させていただくにあたり、私達行政書士について説明いたします。  ...

厚生労働省 熊本労働局 局長 金成 真一
各界からの提言
2024年9月号掲載

助成金を活用した
賃上げのすすめ

厚生労働省 熊本労働局 局長 金成 真一

人手不足が進む中、「賃上げ」や「省人化投資」を考えている企業の方は多いと思います。 人口を年齢階級別に見れば、若年者は高...